2011 Fiscal Year Research-status Report
重症筋無力症患者胸腺における制御性T細胞ならびにハッサル小体の役割
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23790995
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 尚子 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 講師 (10547954)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / ハッサル小体 / 制御性T細胞 / B細胞 |
Research Abstract |
研究目的:重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)患者の胸腺内では、"何らかの理由により、自己のアセチルコリン受容体様構造に反応するT細胞の排除や制御の確立に不全がある"との説が提唱されているが、その病態は十分に解明されていない。そこで我々はMG患者胸腺において制御性T細胞(regulatory T cells, Treg)やハッサル小体に着眼し、MGの発症や病態にどのように関与しているか検討する。ヒトのハッサル小体に発現しているthymic stromal lymphopoietin (TSLP)はTregへ分化誘導する働きをもつことや、in vitroでB細胞を誘導する可能性が指摘されている。胸腺のハッサル小体は、MGの胸腺病変のなかでもB細胞の存在する過形成の形成に何らかの関わりを持つ可能性があり、これらに関する研究に着手した。実施状況:すでに確保してあったコントロールとMG患者の胸腺組織に新規サンプルを加え、以下の実験を行った。【1】胸腺組織の凍結切片を作成し、HE染色でハッサル小体の確認を行う。【2】連続切片を用いTSLP/Foxp3の免疫染色を行い、ハッサル小体上にTSLPが発現しているか、共焦点レーザー顕微鏡で確認する。また近年マウスのハッサル小体のマーカーとして注目されているinvolucrinに注目し、CD4/CD8/Involucrinの免疫染色を行った。さらに過形成については、CD19/CD38の免疫染色を行い、胚中心の確認を行う。【3】胸腺組織よりRNAを抽出し、リアルタイムPCR法にて目的分子の発現を確認する。さらにmRNA発現量をSigmaStatなどの統計解析ソフトを用いてグループ間で比較検討した。【1】と【2】についてはほぼ終了し、研究経過を2011年11月世界神経学会(モロッコ)にて発表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画書に記載したように、平成23年度の計画である、新規サンプルの追加、胸腺の免疫染色を終了し、国際学会で発表を行った。またハッサル小体のマーカーとしてTSLP以外にinvolucrinも追加して検討を行った。平成24年度には残りの実験を終了し、論文発表へむけた準備が可能になると推定できる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成23年度にハッサル小体のマーカーとしてTSLP以外にinvolucrinも追加して検討を行ったところ、有用なマーカーであることが判明した。そこで免疫染色はinvolucrinを中心に解析を進めており、研究計画のなかで変更のあった点である。平成23年度に引き続き、免疫組織学的・分子生物学的実験(とくにRT-PCR)と解析を行い、研究成果を国内・国際学会にて発表、論文投稿を行う予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成23年度に引き続き、免疫組織学的・分子生物学的実験(とくにRT-PCR)と解析などに必要な物品費かつ実験補助などの人件費に使用する。また研究成果を国内・国際学会にて発表するため、一部は旅費に使用する。論文投稿を行う予定にもしており、順調に掲載された場合、カラー写真代として、その他経費を使用する。
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Research Products
(2 results)