2012 Fiscal Year Annual Research Report
重症筋無力症患者胸腺における制御性T細胞ならびにハッサル小体の役割
Project/Area Number |
23790995
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
松井 尚子 徳島大学, 大学病院, 診療支援医師 (10547954)
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Keywords | 重症筋無力症 / 胸腺 / ハッサル小体 |
Research Abstract |
重症筋無力症(Myasthenia Gravis, MG)の大部分は、神経筋接合部のアセチルコリン受容体に対する抗体によっておこる自己免疫疾患で、胸腺腫や過形成などの胸腺異常を合併することが多い。胸腺は分化途上のT細胞系である胸腺細胞と、それらを取り囲む胸腺ストロマ細胞からなり、これらは互いに胸腺の形態を形作るだけでなく、T細胞の分化、選択を制御する。なかでも胸腺髄質は自己反応性T細胞の負の選択による除去と、制御性T細胞(regulatory T cells, Treg)の産生という少なくとも2つの点で、自己寛容の成立に重要な役割を担っている。 我々は、MG患者の胸腺内Tregの産生は減少していないという研究結果をまず得た(Matsui N, et al. Neurology 2010)。そこで、胸腺ストロマ細胞のひとつである、ハッサル小体に着眼したところ、MG患者胸腺でもとりわけ過形成胸腺において、Involucrin陽性のハッサル小体が増加していることを見い出した。ヒトやマウスのハッサル小体は、髄質上皮細胞が同心円状に配列した構造物で、上皮細胞の最終分化において、特徴的な分子Involucrinを発現することがすでに報告されている。またMG患者の過形成胸腺ではCCL21の過剰発現も認めた。CCL21は自己寛容の成立に必須とされる、正の選択をうけた胸腺細胞の髄質への移動に関与する。これらの先行研究より、MG患者でもとりわけ過形成の胸腺においては、胸腺髄質上皮細胞の最終分化が変調し、自己反応性T細胞の産生に関わっている可能性が示唆された。MG患者胸腺におけるハッサル小体の研究成果について、平成23年度から平成24年度にかけて国内および国外で学会発表を行った。なお現在論文投稿に向けて準備中である。
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Research Products
(8 results)