2012 Fiscal Year Annual Research Report
脂肪毒性および耐糖能異常での新規膜型脂肪酸受容体の膵β細胞保護作用と転写制御機構
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23791029
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
冨田 努 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 非常勤講師 (50402897)
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Keywords | GPR40 |
Research Abstract |
近年、オーファン受容体として知られてきたGPR40、GPR119などのG蛋白共役型受容体のリガンドが内因性脂質であることが相次いで示され、その機能的意義が注目されている。 GPR40は中・長鎖の遊離脂肪酸をリガンドとし、膵β細胞にほぼ特異的に高発現し、グルコース応答性インスリン分泌の増強に関与することが報告され、抗糖尿病創薬の標的としてその臨床的意義が注目されてきた。しかし、インスリン抵抗性およびインスリン初期分泌低下モデルob/obマウスの膵臓ではGPR40遺伝子発現が増加しているという報告があるなど、GPR40の発現調節やその意義は不明な点が多い。そこで、我々が遺伝子異常を解明した遺伝性肥満モデル(Nat Genet, 1996)コレツキーラット(fak/fak)にて、膵島でのGPR40遺伝子発現をTaqMan PCRにて検討した。 著明な肥満およびインスリン初期分泌低下を呈する14週齢のfak/fakで、膵島でのGPR40 mRNAレベルは非肥満対照(+/+)の約1/3に著明に低下していた。また、14週齢fak/fakの単離膵島にて、GPR40のリガンドである長鎖脂肪酸のオレイン酸によるインスリン分泌増強は著明に低下していた。膵島での中性脂肪レベルを定量したところ、fak/fakにて+/+の約3倍に著明に増加していた。fak/fakに抗脂肪毒性治療であるカロリー制限を行ったところ、膵島でのGPR40mRNAレベルは+/+に匹敵する濃度に改善した。GPR40遺伝子発現の低下は基礎インスリン分泌の上昇よりむしろグルコース応答性インスリン分泌の低下との関連が示唆され、また膵β細胞でのGPR40遺伝子発現は肥満状態に関連してダイナミックに調節され、治療介入により改善する可能性が示された。
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