2012 Fiscal Year Annual Research Report
改良型モデル抗DNA抗体ノックイン・マウスにおける自己反応性B細胞制御メカニズム
Project/Area Number |
23791111
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
吉藤 元 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (20422975)
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Keywords | 全身性エリテマトーデス / 抗DNA抗体 / 自己反応性細胞 / BAFF |
Research Abstract |
旧来型の全身性エリテマトーデス(SLE)モデル「抗DNA抗体遺伝子トランスジェニック・マウス」および自ら開発した新モデル「抗DNA抗体遺伝子ノックイン・マウス」を用いて、SLE動物モデルにおいて「自己抗体産生B細胞」がどのように制御されているかを明らかにし、「自己抗体産生B細胞」を特異的に抑制するSLEの新治療法を目標としている。初年度は新モデルの表現型について解析した。新モデルである「抗DNA抗体遺伝子ノックイン・マウス」の野生型・ヘテロ接合(Hetero)型・ホモ接合(Homo)型の3者を比較するという手法を用いたところ、Homo型のB細胞数が著明に減少しており、骨髄において小型プレB細胞から未熟B細胞へと分化するきわめて未熟な段階で死滅していることが示された。またHomo型のB細胞は、脾臓において辺縁帯(marginal zone)に高い割合で分布する傾向を認め、自己反応性細胞と辺縁帯の関連が示唆された。 次年度は「自己抗体産生B細胞」が抑制されている機序を解析した。B細胞の表面マーカーを調べたところ、Homo型のB細胞では野生型に比べ、細胞表面のIgM発現が軽度低下、IgD発現が著明に低下していることが判明し、自己反応性細胞がanergyの状態になるよう制御されていることが示唆された。次に、各群マウスの骨髄において、自己反応性細胞の生存に関わる重要な因子であるBAFFの発現を調べたところ、Homo型で著しく多量のBAFFが発現していることがわかり、本マウスにおいてBAFFが重要な役割を果たしていると考えられた。 本成果から、本モデルにおいてB細胞が選択・排除されているメカニズムの一端がわかった。さらに原因をつきとめ、SLEの病態解析および治療法改良につなげていく。
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Research Products
(2 results)