2013 Fiscal Year Research-status Report
高病原性鳥インフルエンザウイルスH5N1由来新型株出現機構に関する基礎研究
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23791134
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
渡邊 洋平 大阪大学, 微生物病研究所, 助教 (50452462)
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Keywords | 鳥インフルエンザウイルス / 変異 / ヒト適応性 / エジプト |
Research Abstract |
前年度までに同定したヒト型レセプター糖鎖への親和性獲得に寄与すると考えられるウイルスHA変異がヒト初代呼吸器上皮細胞におけるウイルス複製に与える影響を評価した。その結果、一部の変異導入組換えウイルスにおいて、ヒト由来細胞におけるウイルス複製能の向上が確認された。また、当該変異がHA膜融合能と構造安定性に与える影響をfusion assayと熱安定性試験によって評価した。その結果、より高いヒト型レセプター糖鎖親和性および膜融合活性の両方を獲得した変異ウイルスのみがヒト呼吸器上皮細胞で効率的に増殖することを明らかにした。また、一部の変異ウイルスは、下部呼吸器上皮において季節性インフルエンザウイルスと同程度まで増殖することが明らかとなった。一方で、フェレット間伝播の研究で観察されたHA構造を相補的に安定化させる付加変異は本研究では確認されず、飛沫間伝播能を付与するHA変異が生体において選択される可能性は、人工的な選択実験系と比較すると低いと推察された。 当該研究結果は、感染患者体内においてH5N1高病原性鳥インフルエンザウイルスが獲得しうるヒト適応性機序に重要な視点を与えると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、平成25年度は当該研究の最終年度であり、研究成果を科学雑誌に投稿する予定であった。しかしながら、論文投稿に先立ち、研究内容をより深く掘り下げる目的で追加実験を1つ行う必要性が生じたため、来年度への繰越制度を申請するに至った。 研究の進捗状況については、上記追加実験を除く全ての実験が終了している段階となっており、研究推進状況に問題はない。
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Strategy for Future Research Activity |
変異導入組み換えウイルスの初代ヒト呼吸器上皮細胞への吸着性をFACSにより確認する。当該定量試験によって、対象変異がウイルス性状に与える影響についての追加データを揃えた段階で、それまでの研究成果を論文として取りまとめて科学雑誌に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究成果論文を科学雑誌に投稿するために追加実験をする必要性が生じた。そのため、研究期間を次年度まで延長し、追加実験および論文投稿に必要な経費を次年度に残した。 変異導入組み換えウイルスの初代ヒト呼吸器上皮細胞への吸着性をFACS解析によって定量し、当該結果を追加した論文を取りまとめて英文校正を依頼後、科学雑誌に投稿する。
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Research Products
(3 results)