2011 Fiscal Year Research-status Report
プロアクティブ・マネージメントを用いたアトピー性皮膚炎の新規治療法開発と作用解析
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23791165
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Research Institution | Hamamatsu University School of Medicine |
Principal Investigator |
福家 辰樹 浜松医科大学, 医学部附属病院, 助教 (10535842)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | アトピー性皮膚炎 |
Research Abstract |
本年度に当研究対象者の紹介受診は54名あり、研究参加に適合し同意された登録症例数は28例であった。これら症例の中間解析を行ったところ、3ヶ月後のSCORADは介入群で有意に改善し、一方標準治療群では低下傾向を認めるものの有意な改善はなく、本治療法の有効性を認めている。また血清TARCにおいても同様の結果であり、Th2に偏位した免疫バランスが是正される可能性が示唆された。さらに初年度の活動として、当科を既に通院中の患者を対象とした後方視的検討を行い本治療法の(1)有効性と(2)安全性を検証し報告した。(1)有効性について「Possible preventive effect of proactive therapy on house dust mite and pollen sensitization in childhood atopic dermatitis」として日本アレルギー学会、欧州アレルギー学会(EAACI)に発表を行い(それぞれH24年5月、6月)、アレルギー関連の会雑誌へ投稿中である。(2)安全性については「Systemic tolerability of intermittent topical corticosteroid therapy using salivary cortisol measurements in infants with atopic dermatitis」として米国アレルギー学会(AAAAI)に発表を行い、現在英語論文の投稿を挑戦中である。また、「アトピー性皮膚炎におけるプロアクティブ療法の実際とTARC検査」として日本アレルギー学会秋季大会の教育セミナーにおいて報告し大きな反響を得た。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究対象者の目標症例数は50症例(プロアクティブ療法群25例、リアクティブ療法群25例)であった。H23年度における本研究への紹介受診54名中、同意を得たのは28例にとどまったが、現症例数で既に有意差が生じている。今後さらに症例数を増やし、有効性と安全性について確かな評価を行いたい。
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Strategy for Future Research Activity |
2年目である平成24年度の研究実施計画として「次年度に試験治療を完了し、試験治療完了/中止日から研究全体終了日までを追跡期間と定義し、試験治療が完了した研究参加者から随時追跡期間に移行し、半年毎に1回以上の追跡調査を開始する。年度末に最終解析を行う」と記載しており、予定通り推進し本治療法における安全性と有効性につき検証する。なお、研究計画書に「統計解析が進まない場合の対応」として「参加希望者全員に対しプロアクティブ・マネージメントを行うことで安全性の評価、免疫学的評価に関する検討に重点を移し、十分有益な研究結果が得られる」と示したが、紹介患者のうち研究参加(特にランダム化)を希望せずプロアクティブ療法を継続している患者群が多数おり、データ活用の同意署名を得ている。免疫学的所見、症状所見に有意差を生み出したメカニズムに特に影響を与えたバイオマーカー等につき検討を行いたい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
【設備備品費】本研究は日常外来・病棟業務を土台として遂行される為、特別な設備を必要とせず計上しない。【消耗品費】血液検査のうち、白血球分画、一般生化学、TARC、総IgE、特異的IgE、コルチゾールおよびACTH負荷試験は保険診療の範囲内で行う。各種サイトカイン測定、唾液中コルチゾールは研究目的である為経費に計上した。【旅費】国内出張費として月1回の国立成育医療研究センター(大矢幸弘アレルギー科医長、松本健治アレルギー研究室長)への研究打合せと国内主要学会への発表に関わる経費を、海外出張として欧州アレルギー学会への発表に関わる経費を予定した。【謝金】当大学皮膚科医師(盲検化SCORADおよび有害事象判定)、国立成育医療研究センターアレルギー科の症例登録担当者、統計解析責任者(専門的知識の提供)に関わる費用を予定した。【通信費】情報発信としてインターネット上の研究成果発表に関わる費用を計上した。その他として、当該研究を遂行するための諸経費(QOL調査票印刷費、SCORAD写真印刷費、検体運搬費、会議費、学会誌投稿料等)を予定した。
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Research Products
(8 results)