2011 Fiscal Year Research-status Report
インフルエンザ重症患児で認められる体内代謝破綻の修復を目指す新規治療法の開発
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23791180
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
千田 淳司 徳島大学, 疾患酵素学研究センター, 助教 (20437651)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | インフルエンザ / 脳症 / 多臓器不全 / ミトコンドリア / 脂肪酸代謝 / アデノシン三リン酸 / サイトカイン / 分子生物学 |
Research Abstract |
本研究では 1) 抗ウイルス薬とは作用機序の異なる新規治療薬・治療法の開発に取り組むこと、2) 申請者らが作出したインフルエンザ重症化モデルマウスを用い、本治療法の有効性について評価・検証をすることが主目的である。平成 23 年度の研究実施計画に基づき、季節性インフルエンザ (Influenza virus A/Puerto Riko/8/34 株) を用い、インフルエンザの重症化に有効な候補治療薬のスクリーニング試験・マウスへの投薬試験を実施した。1. 新規治療薬のスクリーニング試験:インフルエンザの重症化の主要因は全身性の ATP (アデノシン三リン酸) の枯渇、すなわちミトコンドリアの糖代謝と脂肪酸代謝の低下が原因である。本研究で糖代謝の亢進薬である PDK4 (Pyruvate dehydrogenase kinase 4) 阻害薬、脂肪酸代謝の亢進薬 (Bezafibrate) がウイルス感染時のヒト培養細胞の ATP の枯渇を防止することを見出した。しかし、転写因子阻害剤、抗サイトカイン抗体等ではインフルエンザの大幅な重症化の改善効果は認められなかった。2. 候補薬のマウスへの投薬試験:ウイルス感染マウスへ上記候補薬をそれぞれ投薬して、候補薬の病態改善効果について評価・検証した。その結果、糖代謝亢進薬である PDK4 阻害薬、あるいはその誘導体を投薬したマウスでは大幅な病態改善効果が確認された。具体的には、ウイルス感染後のマウスの生存率の増加、体重減少の抑制、炎症性サイトカインの低下、肝臓や心臓等の組織の ATP 量の増加が確認された。 上述の候補薬は抗ウイルス薬とは作用機序を異にする代謝改善薬である。従って、今後は候補薬と抗ウイルス薬との併用による薬理学的な相乗効果の有無について、マウスを用いたウイルス感染試験で慎重に評価する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
平成 23 年度の到達目標であった、有望な候補薬の絞り込みは既に終了した。さらに、最終年度 (平成 24 年度) の研究についても既に実施中である。従って、当初の計画以上に進展しているものと自己評価する。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度の研究計画に基づき、研究を遂行する。また、本研究で得られた成果は日本生化学会、国際インフルエンザ会議で成果発表をするとともに、研究期間内に論文に投稿する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画に基づき、研究を遂行する。
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Research Products
(18 results)