2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791201
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石井 敦士 福岡大学, 医学部, 助手 (90568825)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 小児神経疾患 / チャネル / 遺伝子 / てんかん / 麻痺 / 不随運動 |
Research Abstract |
小児交互性片麻痺は生後2か月頃に異常な眼球運動で発症、6か月頃片麻痺が出現し、6歳頃けいれんが出現する神経疾患である。認知機能は低下し、最終的には重度の知的障害や寝たきり状態に至る疾患である。現在まで責任遺伝子の同定はされていないため、その分子生物学的本態はほとんど分かっていない。今回、責任遺伝子を同定し、遺伝子改変動物を作成し発症機序を解明することを目的とした。研究協力者および小児交互性片麻痺親の会の協力のもと収集した小児交互性片麻痺患者9名の末梢血リンパ球から採取したGenomic DNAに対してチャネル遺伝子変異の探索を行った。本年度実施したチャネル遺伝子はDrave症候群の責任遺伝子であるSCN1A遺伝子(電位依存性Naチャネルα1サブユニット)、AHC類似疾患である片麻痺性片頭痛1型で変異が報告されているCACNA1A遺伝子(P/Q型電位依存性カルシウムチャネルα1Aサブユニット)、家族性AHCや家族性片麻痺性片頭痛2型で変異が報告されているATP1A2遺伝子(ATPase依存性Na/Kイオン交換輸送ポンプα2サブユニット)、また以前小児交互性片麻痺で転座が報告された9q34に存在するCACNA1B遺伝子(N型電位依存性カルシウムチャネルα1Bサブユニット)である。これらに対して直接シークエンス法で遺伝子変異を探索した。結果、SCN1A遺伝子に3種類、CACNA1A遺伝子に10種類、CACNA1B遺伝子に9種類、ATP1A2遺伝子に3種類の遺伝子変異を同定した。その内、アミノ酸置換を伴うものはSCN1Aに1種類、CACNA1Aに6種類、 CACNA1Bに3種類だった。現在これらの変異を健常者で検証中である。また、同時に文部科学省科学研究費新学術領域研究の「ゲノム支援」の支援を受け、全エクソンシークエンスによる疾患感受性遺伝子を探索中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画に従い、小児交互性片麻痺患者の検体を収集し、計画したチャネル遺伝子において直接シークエンス法によって遺伝子変異の探索が実施できた。その結果、SCN1A遺伝子に3種類、CACNA1A遺伝子に10種類、CACNA1B遺伝子に9種類、ATP1A2遺伝子に3種類の遺伝子変異を同定した。その内、アミノ酸置換を伴うものはSCN1Aに1種類、CACNA1Aに6種類、 CACNA1Bに3種類同定できた。それに加えて現在全エクソン・シークエンスを実施中であり疾患感受性遺伝子の同定が当初の計画より期待できるため。
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Strategy for Future Research Activity |
さらに検体数を増やし、遺伝子異常の探索を継続する。また、現在までに同定した遺伝子変異に対して健常者でも検証し、疾患感受性の高い遺伝子を同定する。同時に全エクソンシークエンスにて疾患感受性遺伝子を同定し、健常者で検討する。高いオッズ比が認められた遺伝子に対して当初の予定通り機能解析を行う。具体的には電気生理学的手法と細胞免疫法によるin vitroにて細胞局在と細胞内機能を検証し、電位変化や細胞機能に影響の強い遺伝子変異を優先にノックアウトマウスや遺伝子改変マウスを作製する。その一方で、患者皮膚より神経芽細胞を作成しiPS細胞を作製する方針である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、継続して、シークエンス等の分子生物学実験の試薬や器具に使用し、これに加えて細胞実験試薬や動物作製費用に使用する予定である。大型機器等は所属研究機関のものを使用する予定であり特に必要ないと考えている。
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Research Products
(3 results)