2012 Fiscal Year Research-status Report
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23791201
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
石井 敦士 福岡大学, 医学部, 助手 (90568825)
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Keywords | 小児交互性片麻痺 / てんかん / ATP1A3 / パーキンソン病 / ジストニア / イオンチャネル / 全エクソーム / 次世代シークエンサー |
Research Abstract |
小児交互性片麻痺(AHC)は生後2か月頃に異常眼球運動で発症し、6か月以内に麻痺発作、けいれんは6歳頃出現し、認知機能も低下する進行性の神経疾患である。発症頻度は100万人出生に1人とされており、ほとんどが孤発性である。遺伝子の関与が示唆されていたが不明だった。チャネル病と作業仮説をたて、8名の患者にNaチャネルのSCN1A、CaチャネルのCACNA1A、CACNA1B、ATPポンプのATP1A2遺伝子の変異をサンガー法で探索したが有意な変異は同定できなかった。 そこで次世代シークエンサーで全エクソーム解析をAHC典型症例8名に対して行った。De novo仮説を建て、責任遺伝子の選別を行った。一塩基置換での合計712,558個の全バリアント、13,517個の遺伝子より発端者4人以上に共通したCNTN4, SYEN1, ATP1A3の3個の遺伝子まで絞り込みを行った。これら変異に対してin sillico解析を行い、何れの変異もタンパク構造に大きく変化を与える変異であった。サンガー法での発端者に対する変異確認と両親と健常者96名に対して同変異を探索した。CNTN4は次世代シークエンサーのエラー、SYEN1の変異は健常者にみられるものがありpolymorphismと判断した。一方、ATP1A3は発端者8人全員にヘテロ接合でのミスセンス変異を認め、同変異は両親に存在しなかった。また、追加症例として孤発患者2名をサンガーシークエンスで解析しde novoでのミスセンス変異をヘテロ接合で同定した。以上より、AHCの責任遺伝子としてATP1A3遺伝子を発見し報告した。責任遺伝子同定により機能解析が可能となり分子病態解明の戦略が構築できた。これ迄日本人患者32名を検索し約80%に変異を見出し正確な診断が可能となった。また、培養細胞で酵素活性、電気活性を測定し変異の機能解析を進めている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究目的である小児交互性片麻痺の責任遺伝子の同定において、ATP1A3遺伝子を発見した。その変異はヘテロ接合性でのミスセンス変異であった。また、現在まで日本人患者の約80%に変異が診られており、臨床的診断が困難な小児交互性片麻痺に対して遺伝子により確実に正確な診断できる可能性がでてきた。また、本責任遺伝子であるATP1A3遺伝子は成人疾患であるRapid onset dystonia parkinsonismの責任遺伝子として報告されており、本疾患は常染色体優性遺伝を呈する神経疾患であり小児交互性片麻痺と同じスペクトルであり小児交互性片麻痺は重症型であると考えられ新たな疾患概念が組み立てられるようになった。また、現在さらに多くの患者での変異探索を行い、表現型と遺伝子型の相関を求める作業に取り組んでいる。同時に、小児交互性片麻痺とRapid onset dystonia parkinsonismで同定したATP1A3遺伝子変異を培養細胞に導入し、蛋白レベルでの解析を開始している。 以上より、当初の目的を一部到達し、他の目的に取りかかれている点で順調に進展していると評価した。
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Strategy for Future Research Activity |
本邦で唯一の小児交互性片麻痺の遺伝子解析施設として、今後も遺伝子解析を実施し、変異探索をおこなう。また約20%の患者では臨床症状は小児交互性片麻痺に矛盾しないがATP1A3遺伝子に変異を見出すことができず、これらの症例に対して再度、次世代シークエンサーで全エクソーム解析を行い小児交互性片麻痺の責任遺伝子を網羅する。 同定したATP1A3遺伝子変異を培養細胞に導入し、ATP活性、蛋白発現を検証し、ポンプ機能として電気生理学的手法を用いて病態の解明に迫る。 また、同定した変異を導入したモデル動物を作成し、ATP1A3変異によりどのような表現型が生じるのか表現型の検討を行う。また、病理組織学的検証、脳スライスパッチを行い個体レベルでの病態を検証する。 これらを行うことで新たな治療戦略の基盤を構築する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
該当なし
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Research Products
(10 results)
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[Journal Article] Identification of ATP1A3 mutations by exome sequencing as the cause of alternating hemiplegia of childhood in Japanese patients.2013
Author(s)
Ishii A, Saito Y, Mitsui J, Ishiura H, Yoshimura J, Arai H, Yamashita S, Kimura S, Oguni H, Morishita S, Tsuji S, Sasaki M, Hirose S.
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Journal Title
PLoS One.
Volume: 8
Pages: e56120
DOI
Peer Reviewed
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[Presentation] Genetic analysis of PRRT2 for benign infantile epilepsy, infantile convulsions with choleoathetosis syndrome, and benign convulsions with mild gastroenteritis2012
Author(s)
Atsushi Ishii, Sawa Yasumoto, Yukiko Ihara, Takahito Inoue, Takako Fujita, Noriko Nakamura, Masaharu Ohfu, Wang-Tso Lee, Sunao Kaneko, and Shinichi Hirose
Organizer
2012 Korea Epilepsy Congress
Place of Presentation
Inchon
Year and Date
20120607-20120609
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