2011 Fiscal Year Research-status Report
新生児慢性肺疾患の出生前発症誘導における酸化還元バランスの破綻について
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23791239
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Research Institution | Osaka Medical College |
Principal Investigator |
長谷川 昌史 大阪医科大学, 医学部, 助教 (80388264)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 慢性肺疾患 / 上皮間質転換 / 酸化還元状態 |
Research Abstract |
未熟児に長期の酸素治療が必要となる新生児慢性肺疾患の成因はいまだ不明である。胎内環境下のストレス(胎盤感染や絨毛膜下血腫)による酸化還元環境の変化によって、慢性肺疾患が出生前にあらかじめ発症誘導されているのでは、という仮定の元に培養細胞モデルを用いて検討している。最初にラットの肺胞II型上皮細胞由来のL2細胞を用いて各種サイトカイン(TNFα、IL-6等)負荷を行い細胞活性、細胞数の変化をMTTアッセイを用いて観察した。高濃度のサイトカイン負荷では細胞死が起こるため、なるべく細胞活性を保つ濃度を検討し負荷濃度を決定した。前負荷による細胞環境の変化と細胞の感受性の変化に焦点を当て、慢性肺疾患に関わる上皮間質転換により上皮細胞がコラーゲンを産生する間質細胞に変化している可能性を上皮細胞マーカーであるE-cadhelinや間葉系マーカーのα-smooth muscle actinなどの蛍光染色を利用して比較した。以前の報告にあったTGF-β添加により間葉系マーカーが増加していることは確認できた。さらにTNF-α前負荷後TGF-β添加により相乗的に上皮間質転換が増加しているか検討中である。また細胞内酸化還元バランスの決定に重要とされるチオレドキシンについてその酸化還元状態を見るため文献を参考にredox-western blotting法で調べている。方法の確立のため種々の条件で検討したが現在の時点でL2細胞へのTNF-α前負荷後TGF-β添加によるチオレドキシンの酸化還元状態の明らかな変化は認めていない。また同様に酸化還元酵素であるグルタレドキシンについてもredox-western blotting法を試みたが酸化状態、還元状態の正確な分離ができず条件再検討を行なっている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
ストレス負荷後の細胞の反応の変化に関してはTNF-α前負荷後TGF-β添加により上皮間質転換が増加している可能性が示唆されたが、細胞内で起こっている変化の機序として酸化還元状態の変化を想定しチオレドキシンやグルタレドキシンの状態を測定しているが有意な変化は見られない。測定方法自体の問題点も可能性があり検討が必要である。
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Strategy for Future Research Activity |
チオレドキシンについては酸化還元状態の変化に今回の条件では関わらなかったと判断し、グルタレドキシンについてはredox-western blotting法での評価は難しく中止を検討する。細胞の反応の変化をグルタチオンを添加したり枯渇したりといった外的要因で酸化還元常態を変化させたときに上皮間質転換の有無に影響するか検討する。またその機序に関連する可能性としてとしてカスパーゼの変化などアポトーシス関連や活性酸素の増減など蛍光プローブを用いて調べる。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
引き続き細胞培養系に必要な血清、培地、シャーレ群、培養器メンテナンス、各種抗体、サイトカイン、蛍光抗体、PCR物品等に使用予定である。
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