2011 Fiscal Year Research-status Report
皮膚バリア機構破綻アトピー性皮膚炎モデルマウスの酸化ストレス状態と治療
Project/Area Number |
23791271
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Research Institution | Kagawa University |
Principal Investigator |
中井 浩三 香川大学, 医学部附属病院, 助教 (40363204)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 国際情報交流 |
Research Abstract |
本研究では皮膚バリア機構が破綻して慢性炎症がおこるアトピー性皮膚炎のモデルであるフィラグリンおよびロリクリンのノックアウトマウス、さらに両者のダブルノックアウトマウスの皮膚における酸化ストレス状態を調べ、抗酸化剤により皮膚バリア機構の破綻と慢性炎症を改善できるか検討する。本研究によりアトピー性皮膚炎の病態における酸化ストレスの役割について新たな知見が得られるとともに、新しい治療戦略につながるものと思われる。我々はまず、フィラグリン遺伝子の異常があり、皮膚バリア機構が破綻して慢性炎症がおこるアトピー性皮膚炎のモデルマウス、フレーキーテイルマウスに抗酸化剤であるアセチルシステインを含む水を飲水させ、皮膚の変化を調べた。8週齢のフレーキーテイルマウスは正常C57B6マウスに較べて毛並が粗であったが皮膚そのものには明らかな変化はみられなかった。また、組織学的にも明らかな差はみられなかった。しかしながら、アセチルシステイン摂取によりフレーキーテイルマウスの毛並は改善され、C57B6マウスのようになった。炎症性サイトカインであるTNFαやIL-6、VEGFはフレーキーテイルマウスマウスの皮膚で増加していたがアセチルシステイン摂取により減少することはなかった。しかし、酸化ストレス関連因子であるSIRT1のタンパク発現がフレーキーテイルマウスの皮膚で減少しており、アセチルシステイン摂取はそれを回復した。これらのことから、皮膚バリア機構が破綻していると酸化ストレスが増加し、アトピー性皮膚炎が悪化すると考えられ、抗酸化剤はバリア機構破綻による酸化ストレスを軽減する治療法として有用である可能性がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
フレーキーテイルマウスの繁殖が通常のC57B6マウスより悪かったためである。このことについての報告はなく、原因も不明である。また、多数購入しようにも2ペアで70万円のため予算的に不可能であった。
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Strategy for Future Research Activity |
できれば、より皮膚炎が重症である32週齢のマウスでも同様の実験をし、抗酸化剤が有効であるか、確認し、抗酸化剤もアセチルシステインだけでなく、ビタミンCやポリフェノール類なども有用か検討する。また、フレーキーテイルマウスは雑種であるため、皮膚バリア機構破綻に重要な因子がなにか明確でない。よって、フィラグリンやロリクリンといった皮膚バリア機構破綻に重要な因子だけが欠損したノックアウトマウスを用いて同様の研究を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
主にマウスの維持、タンパク発現や遺伝子発現、組織の評価などのための消耗品に使用する予定である。
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Research Products
(1 results)