2013 Fiscal Year Annual Research Report
ATL既感染者に生じた菌状息肉症と、皮膚型ATLの鑑別アルゴリズムの開発
Project/Area Number |
23791282
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Research Institution | University of the Ryukyus |
Principal Investigator |
平良 清人 琉球大学, 医学部附属病院, 講師 (90404566)
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Keywords | 成人T細胞白血病 / 菌状息肉症 / 病理鑑別 / マイクロRNA |
Research Abstract |
沖縄・八重山地方は、成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-1)への感染率が非常に高い地域である。これら高感染地域では、従来のCD4陽性T細胞へのHTLV-1プロウイルスのモノクローナルな組み込みにより、皮膚型の成人T細胞リンパ腫(ATL)であると臨床診断する手法はほぼ無効である。HTLV-1既感染者のCD4陽性T細胞が菌状息肉症の機序により腫瘍化したのであれ、血清中のHTLV-1への抗体価は陽性でありT細胞受容体の遺伝子組換えとHTLV-1プロウイルスの組み込みは単クローン性の腫瘍としてサザンブロット法にて確認され、HTLV-1既感染者は全て菌状息肉症であっても、皮膚型のATLであると判断されてしまう。 成人T細胞白血病ウイルス既感染者(HTLV-1キャリアー)に生じた皮膚リンパ腫を、古典的な菌状息肉症であるのか、あるいはHTLV-1の発癌機序に依存性の皮膚型ATLであるのか、臨床現場における簡便な鑑別手法の開発を目標とした。これまでにT細胞分化の系譜である、CD4, CD25, OX40, FoxP3、さらにATLが長期の感染期間の後に腫瘍化することより慢性炎症により誘導される遺伝子改変酵素であるAIDを始め、APOBEC酵素群の蛋白発現を皮膚型ATLと菌状息肉症の病理切片において行った。CD25, FoxP3に関しては、大部分の両者に陽性に発現し、OX40は菌状息肉症には発現は乏しいが、皮膚型ATLで半数以下の症例では陰性と臨床上鑑別には不十分であり、さらにAID, POBEC蛋白群の発現解析を進めた。しかしながら、これらのmRNAおよび遺伝子改変酵素の発現も両皮膚リンパ腫間に特異的とまでは言い難い結果となり、厳密な差別化の必要な臨床鑑別のアルゴリズムとしては使用が難しいかとの印象を受けた。
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