2012 Fiscal Year Annual Research Report
前立腺がんの核医学診断を目的とした分子イメージングプローブの開発研究
Project/Area Number |
23791413
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Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
木村 寛之 京都大学, 放射性同位元素総合センター, 助教 (50437240)
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Keywords | 放射性医薬品 / 造影剤 / 前立腺がん |
Research Abstract |
本研究の目的は、疾患の分子機構を標的として、病態生理学的観点と製剤学的観点からプローブ設計を行い、前立腺がんの核医学診断を目的としたPET・SPECT用分子イメージングプローブを設計・創製することにある。がんの核医学診断に広く用いられている[18F]FDGは、前立腺がんの検出には適しておらず、確定診断は主に腫瘍マーカーを対象とした生検により行われている。しかし、生検は侵襲的であり患者への負担も大きいため、非侵襲的にリスク評価が可能な分子イメージングプローブの開発が望まれている。そこで本研究では、前立腺がんの細胞膜上に発現する特異的タンパク質であるProstate-specific membrane antigen(PSMA)を標的としたプローブ開発を計画した。 PSMAの阻害剤として報告されているメルカプト基を有する非対称ウレア化合物を母格として選択し、新規プローブ[123I]IGLCEを設計・合成した。[123I]IGLCEはin vitroでPSMAに対する高い親和性、プローブとしての十分な安定性を示した。腫瘍移植モデルマウスにてPSMA発現腫瘍(LNCaP)に高い集積を示し、その集積はPSMAの阻害剤2-PMPAで阻害された。[123I]IGLCEを用いたSPECT/CT撮像ではLNCaPを選択的に描出し、[123I]IGLCEの前立腺がん診断用プローブとしての有効性が示唆された。更に、[123I]IGLCEの高い親和性に寄与する骨格の特性を明らかにすることは、今後より優れたプローブ設計を行う上で有益な情報をもたらすと考え、構造活性相関研究を実施した。その結果、[123I]IGLCEの骨格中のスクシミジル基と芳香環が高親和性に寄与していることが示唆された。本研究成果は、今後のPSMAプローブの開発において有効な情報を提供すると考えられる。
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