2011 Fiscal Year Research-status Report
ボルツマン方程式を用いた放射線治療用吸収線量計算法・治療計画システムの開発
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23791449
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Research Institution | Juntendo University |
Principal Investigator |
杉本 聡 順天堂大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00373316)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 放射線治療 / 線量計算 / ボルツマン方程式 |
Research Abstract |
本研究課題では放射線治療において患者が受け取る吸収線量を正確に、高速に計算する方法の開発を目指している。放射線治療においてはターゲットである腫瘍に吸収線量を集中し、その周りの正常組織に対する吸収線量をできうる限り小さくすることが大事である。そのため、腫瘍、その周辺の正常組織への吸収線量を正確に計算する必要がある。吸収線量計算を行う上で難しい点は人体は均質な媒質でできているわけではなく、様々な組成、密度の異なる物質から構成されているということである。現在、線量計算に広く用いられているsuperposition/convolution法は人体の不均質性をかなり精度よく取り扱うことができるが、急激に密度が変化する部分、異なる媒質の境界面等で計算の精度が落ちる。本研究では放射線輸送の基礎方程式であるボルツマン方程式を決定論的に直接解くことによって、精度の高い吸収線量計算を実現することを目的としている。 今年度はVassiliev O.N. et al. Phys. Med. Biol. 55 (2010) 581-598に基づき、X線に対するボルツマン方程式を決定論的に解く方法を定式化し、コード化することを試みた。また、Vassiliev O.N. et al.にはX線についての定式化が与えられているが、電子線、陽子線のような荷電粒子も現在の放射線治療では重要である。そのため、荷電粒子の場合への定式化の拡張を試みた。吸収線量計算の高速化を目指し、GPGPUを用いた計算アルゴリズムについて検討を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
定式化に予想以上に時間がかかり、コードの完成に至らなかった。荷電粒子の場合への拡張が考えていた以上に困難であることがわかった。
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Strategy for Future Research Activity |
X線の場合のコードの完成を目指す。荷電粒子の場合への拡張の検討を引き続き行う。線量計算の治療計画システムへの統合を行う。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
吸収線量計算結果、測定結果との比較等の解析に必要なソフトウェア(MATLAB, MathWorks社) 15万円海外旅費(研究成果発表) 50万円国内旅費(研究計画発表) 20万円
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