2012 Fiscal Year Annual Research Report
乳癌個別化治療を目指したHOXB9によるEMT誘導とDNA修復メカニズムの解明
Project/Area Number |
23791499
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
林田 哲 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (80327543)
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Keywords | HOXB9 / EMT / 放射線耐性 / TGFβ |
Research Abstract |
乳癌における放射線治療は残存乳房における局所再発防止や骨転移に対する治療に汎用されている。我々の現在までの研究成果により、転写因子HOXB9がEMTを通じて乳癌の転移や浸潤に関わる予後因子であることが示されると同時に、DNA損傷・修復の過程に作用し放射線や抗癌剤耐性の獲得に重要な役割を持つことが示唆されている。これらの知見をもとに、乳癌におけるHOXB9発現による放射線耐性獲得のメカニズムを明らかにすることによって、乳癌に対する個別化治療に対するバイオマーカーの確立を目指し、臨床への応用を試みることを目的として研究を行った。 in vitroにおけるHOXB9の放射線照射耐性に対するメカニズムの検証のため、放射線照射後のpATMやMDC1などの発現量を免疫蛍光染色にて計測し、HOXB9を導入していないコントロール細胞と比較検討した結果、γH2AXや53BP1の上流とされるpATMはHOXB9導入細胞においてより亢進していることが示された。またMDC1はHOXB9導入細胞において発現量の増加が観察され、これは53BP1と同様に誘導される分子であることから、DNA修復の経路が亢進していると考えられた。 さらに、HOXB9導入細胞においてTGFβ経路の活性化が生じることは既知の事項であるが、これにshSmad4をさらに導入した細胞を準備し、shSmad4によってMET(間葉上皮移行)を引き起こし、さらに放射線感受性がshSmad4導入細胞で上昇することが確認され、HOXB9によるATM経路の活性化メカニズムが主にTGFβ経路を介していることが示された。 現在臨床検体における検証が進められており、これら基礎的知見と合わせることで、今後EMTによる放射線耐性化メカニズムが解明されると考えられる。
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Research Products
(9 results)