2011 Fiscal Year Research-status Report
肝移植のレシピエントにおけるドナー特異的抗体と拒絶反応に関する研究
Project/Area Number |
23791520
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
脇 嘉代 東京大学, 医学部附属病院, 特任助教 (70505891)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 移植 / 移植免疫 / 抗HLA抗体 / 移植予後 / 拒絶反応 |
Research Abstract |
本研究の目的は肝移植における拒絶反応とドナー特異的抗体の関連を明らかにし、(1)DSAのモニタリングによりrejectionの発症を予測できるか、(2)DSA値の推移からrejection発症のリスクが低いと判断される症例では免疫抑制剤の減量が可能か、(3)HCV感染等、移植後の免疫抑制剤の投与がウイルスの活動性を高め再発が問題となる症例ではDSAをモニターの上、免疫抑制剤を減量して再発を抑制できるか、(4)DSAの長期予後に及ぼす影響を検討することを目的とする。申請者らが既に行っている肝移植の長期予後の解析、DSAとrejectionの関連(申請者らが行ったpreliminaryな解析ではrejectionを発症した症例ではDSAが有意に認められた)の検討で得た結果を基に更にプロジェクトを発展させる予定である。平成23年度にはまず、本研究を始めるにあたり東京大学医学部医学系研究科の倫理委員会の承認を得た。倫理委員会の承認が得られた後、対象となる患者の主治医である人工臓器・移植外科の医師が本研究について患者に説明し、本研究参加への同意書を取得した。同意書が得られた後、移植後の定期検査で使われた血清の残り(1ml)を米国の研究協力機関であるTerasaki Foundation Laboratoryに輸送し、抗HLA抗体のスクリーニングおよび測定を行った。ドナー特異的抗体の有無によりrejectionの発症を予測できるか、また免疫抑制剤の減量がどの程度可能であるかを検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度に実施予定であった内容である(A1)(1)肝移植患者におけるDSA(抗HLA抗体価)の時系列推移を明らかにする、(A1)(2)DSAのモニタリングによりrejectionの発症をどの程度予測することが可能であるかを検討する、(A2)DSAのモニタリングにより免疫抑制剤の減量がどの程度可能であるかを検討するについては、同意書が得られた患者に対して実施し保存血清を用いて検討を行っている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の実施計画は(A3)免疫抑制剤の減量によりHCV患者におけるrecurrence rateを抑制できるか検討する、(B1)全患者を対象に移植患者における抗HLA抗体の陽性率を明らかにする、(B2)全患者を対象に移植患者における抗HLA抗体の陽性率を明らかにする、(D)抗HLA抗体陽性群と陰性群における予後の比較、である。抗HLA抗体、中でもドナー特異的抗体の平均蛍光強度にも注目して解析を進める予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
抗HLA抗体の測定は主に米国のTerasaki Foundation Laboratoryで行われるが、必要に応じて東大病院でも抗HLA抗体の測定が出来るようにし、抗HLA抗体を頻回に測定し速やかに結果を得る必要がある症例に対して適切な対応ができるような環境を整えるようにする。
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