2012 Fiscal Year Annual Research Report
肝硬変患者における脾臓摘出術後門脈血栓症の分子的機序の解明とその臨床応用
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23791546
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Research Institution | Kyushu University |
Principal Investigator |
金城 直 九州大学, 大学病院, 特任助教 (00507791)
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Keywords | 門脈血栓症 / 肝硬変症 / 脾臓摘出術 / 血栓性素因 |
Research Abstract |
肝硬変患者において、蛋白合成能の低下により、凝固蛋白・抗凝固蛋白のいずれも減少し、ストレス時に血液凝固線溶のバランスが不安定となりやすく、出血と血栓形成といった相反する病態が、肝硬変患者に認められる。本研究は、(1)肝硬変患者における、脾摘術というストレスを加えた時の凝固蛋白、抗凝固蛋白の動態を観察し、(2)さらに動物実験モデルを使用した、門脈血栓発症の分子メカニズムを詳細に検討することにより、肝硬変患者に対するより安全で効果的な門脈血栓症治療を行うことを目的とした。 1.血液凝固・抗凝固蛋白の術後の経過に関する研究 (1)術前因子 当科にて肝硬変症を有する患者に対して脾臓摘出術を行った19例に関して、術後に血栓を形成した群(n=5)と非形成群(n=14)の2群に分けて、術前の肝機能(アルブミン、ビリルビン、PT)、肝硬変の線維化マーカー(IV型コラーゲン、ヒアルロン酸)、血栓性素因(Protein C、Protein S)と血液凝固・抗凝固蛋白(PT、antithrombinIII、FDP)を比較検討した。肝機能や線維化マーカー、血栓性素因に関しては、血栓形成、非形成群共に有意差を認めなかった。血栓形成群において、antithrombin IIIの有意な低下を認めた。 (2)周術期の凝固・抗凝固蛋白の動態 PTは血栓形成群、非形成群共に有意差を認めなかったが、ATIIIは術後7日目に、血栓形成群において低下を認め(p<0.05)、FDPに関しては術後7日目に、血栓形成群において有意に高値を認めた(p<0.05)。 (3)遺伝子異常(Factor V Leiden、Prothrombin II、MTHFR)に関する研究 5例に関して検討をおこなったが、明らかな遺伝子異常は認めなかった。現在追加で解析を行っているところである。
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Research Products
(1 results)