2012 Fiscal Year Annual Research Report
細胞分離用酵素剤の最適化とイオンチャネル制御の膵島移植への応用
Project/Area Number |
23791554
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Research Institution | Fukushima Medical University |
Principal Investigator |
穴澤 貴行 福島県立医科大学, 医学部, 助教 (90566811)
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Keywords | 移植・再生医療 / 糖尿病 / 外科学 / 膵島分離 / イオンチャネル |
Research Abstract |
細胞分離から構築された移植片を用いる細胞・組織移植において、高い細胞収量と分離過程の細胞障害回避の両立は重要な課題である。特に膵島移植の分野では、膵島分離過程の特殊性から、収量の不安定性と分離過程で被る顕著な細胞障害が、臨床展開において大き な障害となっている。臨床膵島移植分野で使われるcollagenaseを用い、最も有効な併用するproteaseの種類を明らかにすること、さらにClチャネル阻害による細胞防御原理を応用することにより膵島・外分泌細胞を細胞障害から予防し、機能の良好な膵島を高収率で確保できる分離法を確立することを目的とした。 前年度までに、classI/II比を最適化した純度の高いcollagenaseにneutral proteaseを併用すると、従来法であるThermolysinの併用より高い収量が得られることが、ラットを用いた基礎実験で明らかにされた。今年度は共同研究関係にある米国ミネソタ大学において実施したヒト膵島分離にこの概念を導入して、この組み合わせがヒト臨床膵島分離においても極めて有効な結果をもたらすことが証明された。またClイオン制御による膵島分離成績への影響と細胞保護効果については、前年度および今年度の研究により、膵島分離過程にClイオン阻害剤(DIDS,NPPB)の添加、Clイオンフリーとした細胞外溶液の使用を導入して、分離成績や細胞のViabilityへの影響を調べ、膵島分離収量やViabilityはClイオンの制御により改善されることが明らかとなった。また、本邦での臨床背景にそって、ラット心停止ドナーモデルを構築し、心停止ドナーでも同様の結果が得られるかどうかの検証に取り組み、心停止モデルでも同様の結果が得られることが示唆された。今後、臨床膵島移植への導入が可能な、重要な結果であると考えられる。
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Research Products
(5 results)