2012 Fiscal Year Annual Research Report
大腸癌細胞膜表面EGFR検出によるCetuximab感受性予測法の開発
Project/Area Number |
23791559
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Research Institution | Keio University |
Principal Investigator |
茂田 浩平 慶應義塾大学, 医学部, 助教 (30528790)
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Keywords | 大腸癌 / 分子標的治療薬 / セツキシマブ |
Research Abstract |
セツキシマブは細胞外EGFRにリガンドと競合的に結合して腫瘍増殖シグナル伝達経路を抑制するが、免疫染色で検出されたEGFR発現量とセツキシマブの治療効果に相関がないと報告されている。本研究は、セツキシマブを一次抗体として用いたフローサイトメトリー(FCM)により検出されたEGFR発現量と腫瘍増殖抑制効果の相関および臨床的意義を検討した。 4種のヒト大腸癌細胞株(Caco-2、WiDR、SW480、HCT116)を対象とし、各細胞株のKRAS、BRAF、PIK3CAの変異の有無を確認したうえで、ビオチン修飾セツキシマブを用いてFCMによりEGFR検出を行った。限界希釈法により作成したサブクローンからこのFCMによりEGFRの高発現株と低発現株を抽出し、MTT法を用いてセツキシマブの腫瘍増殖抑制試験を行った。また、免疫不全マウスを用いて異種移植モデルを作成し、セツキシマブ感受性試験を行った。 限界希釈法で作成したサブクローンから抽出されたEGFR高・低発現株を用いたセツキシマブの腫瘍増殖抑制効果試験では、EGFR低発現株で高発現株に比して腫瘍増殖抑制効果が見られなかった。マウス異種移植モデルを用いた感受性試験も同様にEGFR低発現の腫瘍は高発現のものに比して有意な差を持って腫瘍増殖抑制効果が認められなかった。 これまでの免疫染色によるEGFR発現とセツキシマブ感受性には相関がないことが報告され、乳がんに対するトラスツマブとは異なっていた。S492変異のあるEGFRへセツキシマブが結合しないことが報告され、セツキシマブが作用するEGFRの発現量を定量する必要性が示唆された。本研究ではセツキシマブにより検出されたEGFR発現量はセツキシマブ感受性と相関することが示唆され、今後臨床検体を用いた実験で同様の結果を得ることができれば、薬剤選択に大きな指針を与える可能性がある。
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Research Products
(4 results)