2012 Fiscal Year Annual Research Report
グリオーマ幹細胞のMGMT発現におけるMAPK経路の役割
Project/Area Number |
23791585
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Research Institution | Yamagata University |
Principal Investigator |
佐藤 篤 山形大学, 医学部, その他 (30455901)
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Keywords | グリオーマ / 薬剤耐性 / 腫瘍幹細胞 / テモゾロミド / MGMT / 化学療法 / 脳腫瘍 |
Research Abstract |
近年グリオブラストーマの治療後の再発の原因としてグリオーマ幹細胞の関与が注目されている。グリオブラストーマの治療ではアルキル化剤であるtemozolomide(以下TMZと略す)が用いられているが、グリオーマ幹細胞ではTMZ耐性を与えるDNA修復酵素のO6-methylguanine-DNA methyltransferase (以下MGMTと略す)が高発現しているため、TMZ治療後も残存し再発につながると考えられている。そこで本研究ではグリオーマ幹細胞のMGMT発現制御におけるMAPK経路の役割について検討するとともに、MAPK経路阻害剤とTMZの併用によりグリオーマ幹細胞を効率よく殺傷し長期生存を可能にする脳腫瘍治療モデルの確立を目的として研究を行った。 前年度までに(1)MEK阻害剤あるいはMEKに対するRNA干渉法によって3種類の患者由来のグリオーマ幹細胞でMGMTの発現が減少すること、(2)MEK阻害とTMZの併用によりそれぞれ単独投与より有意に細胞死が増加することを確認した。 本年度はさらに(1)MEK阻害によってMGMTの発現が低下するメカニズムとしてMDM2-p53経路が重要な役割を担っていること、(2)MDM2-p53経路を直接ターゲットとしてもMGMTの発現が低下すること、(3)マウス頭蓋内腫瘍モデルと用いてMEK阻害剤とTMZの併用で単剤よりも生存期間が有意に延長することを確認した。 以上の結果は、難治性腫瘍の一つであるグリオブラストーマに対する新たな治療戦略としてTMZとMEK阻害剤の併用療法の有効性を示唆するものであるとともに、グリオーマ幹細胞をターゲットとした治療法がグリオブラストーマに対する治療戦略として有効であることを示唆するものである。
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Research Products
(4 results)