2013 Fiscal Year Annual Research Report
脳梗塞における幹細胞移植療法の効率効果向上を目指した時期特異性、領域特異性の解明
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23791611
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Research Institution | Nagasaki University |
Principal Investigator |
堀江 信貴 長崎大学, 大学病院, 助教 (70380912)
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Keywords | 脳梗塞 / 再生医療 / 幹細胞 / 移植 |
Research Abstract |
【はじめに】近年の再生医学の発展により、脳梗塞に対する再生医療は新たな側面としての期待が大きい。しかしながら、投与方法、移植細胞ソース、至適細胞数、移植タイミング、回復メカニズムなど、まだ解決すべき課題も多い。我々は血管内治療による動脈内投与の可能性を求めて検討を行っており、これまでの成果及び近年の知見を加えて報告する。 【方法】動物モデルを用いて脳虚血再灌流モデルを作成し、患側の内頚動脈から順行性の血流を維持したまま、カテーテルを介して幹細胞を経動脈的投与した。本研究の目的は、1. 移植タイミングによる効果を検証すること、2. 移植細胞数による相違 、すなわち低容量での可能性を検証すること(経動脈的投与のメリット)、とした。 【結果】移植細胞は多く脳内へmigration しており、静脈内投与の約40倍の効率であった。また、虚血部位への細胞のhomingは炎症性サイトカインと相関性が強く、より急性期の投与においてhoming する細胞が多かった。梗塞後7日を経過すると脳内へのmigration はほとんど見られなかった。行動学的改善においては早期であるほど、その効果が明らかであった。細胞数については一般的に用いられている細胞数の1/100の量 (1X104 cells) でも梗塞サイズの縮小及び、行動学的改善が得られ、更には周術期のmortalityも低かった。 【考察・結語】脳梗塞に対する再生医療を現実的なものにするためにはその効果を最大限引き出す手法を確立することが必要である。また、必要移植細胞数、対象病型など医療経済的側面からも検討しなければならない。血管内治療を用いた経動脈的投与は、必要細胞数が少なく済み、大量に静脈内投与を行う手法と同等の効果をもたらす可能性が示唆された。
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