2011 Fiscal Year Research-status Report
外科摘出標本を用いたてんかん原性脳皮質形成異常症の遺伝子探求
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23791620
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Research Institution | National Center of Neurology and Psychiatry |
Principal Investigator |
齋藤 貴志 独立行政法人国立精神・神経医療研究センター, 病院, 小児神経科医師 (10532533)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | てんかん |
Research Abstract |
本年度は、片側巨脳症・限局性皮質異型成の患者の血液と、脳検体からDNAを抽出することに注力した。まず、てんかん外科手術を受けた患者の病理組織を精査し、病変が本研究の対象である片側巨脳症あるいは限局性皮質異型成であることを確認した。倫理委員会で承認を得た同意書に基づき、本人もしくは代諾者より研究協力の同意を得た、片側巨脳症あるいは限局性皮質異型性であったてんかん外科手術患者より、血液を採取した。この血液検体より直接あるいは培養した白血球より市販のキットを用いてDNAを採取した。これをアレイに供することになるが、アレイCGHに使用可能な品質のDNAを抽出することに難渋した。一つの問題としては二重鎖DNAが予想を少ないことで、これに対しては白血球を培養して検体量を増やすこと、市販のキットでの標準的な手法を改良することで対処した。検体数は31検体収集することができたが、高品質のDNAが採取できたのは4検体にとどまっている。これと平行して、血液を採取した片側巨脳症・限局性皮質異型性患者のてんかん外科患者の脳検体の組織よりDNAを採取した。血液由来のDNA採取より、アレイCGHに使用可能な高品質のDNA採取に非常に難渋したが、やはり使用する検体の量を増やすこと、組織の融解に市販のDNA抽出キットには付属していないバッファーを用いることで、必要なDNAを得ることに成功した。アレイCGHについては、同一患者で血液と脳検体のペアがそろったものから処理を開始し、データの蓄積を行っている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本年度は計画上は集めた検体からDNAを抽出し、アレイCGHに供し、片側巨脳症・限局性皮質異形成患者に共通した染色体上の微小な重複または欠失を見いだすことを目標としていたが、結果的には数例の検体のアレイCGHを行ったことにとどまった。患者の協力によりサンプルの収集自体は順調であったが、遅れを生じた最大の障害はアレイCGHに使用可能な高品質のDNAを得ることが予想以上に難渋したことであった。一つの理由は、片側巨脳症あるいは限局性皮質異型成患者が乳児であることが多いため、血液の件体量が少ないこと。第二点は、アレイCGHメーカーの使用マニュアルが変更になり、二重鎖DNA使用が推奨されたため、これまでに十分量かつ十分高品質とと考えてきたサンプルでは、量が不足してしまい、アレイCGHには不適格となってしまったこと。第三点は、手術標本である大脳皮質からのDNA採取が、血液以上に困難であったことがあげられる。
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Strategy for Future Research Activity |
検体採取、収集に遅滞が生じているため、また、「達成度」でも触れたが、乳児の検体は量が少ないため、直接DNAを採取するだけでなく、白血球を培養してDNAを得るような方策に変更している。このため、少量のサンプルからでも安定的に十分なDNAを得ることができる予定である。今後は、早急にアレイCGH可能なDNAサンプル数を増やし、アレイCGHを行うことで、片側巨脳症あるいは限局性皮質異型成患者に共通なゲノムの微小な欠失や重複を見いだすことを目指す予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
第一点目の理由として、サンプル処理の問題のため、CGHとして使用できるまでの高品質のDNAをなかなか得ることができなかった。このため、今年度中にアレイCGHを少なくとも10-15検体程度は行うことを見込んでいたが、2検体ほどしか行っていない。このため、アレイCGHに関する試薬購入に使用する予定であった費用が、次年度使用額となった。次年度は、アレイCGHを行うことができるサンプル数を増やし、研究費はアレイCGH関連の試薬購入に充てる予定である。このように、本年度は主にアレイCGH関連試薬を使用する機会が少なかったことが大きな理由である。次年度の研究費は、アレイCGH関連試薬の購入のほか、研究の次の段階として、組織化学的研究等に使用予定である。第二点目の理由として、、本年度、地震の影響や、実験系での問題が多かったため、その対応に非常に時間かかり、情報収集のための学会出席、他の研究室訪問などができなかったため、次年度に情報収集のために研究費を使用予定である。
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Research Products
(1 results)