2011 Fiscal Year Research-status Report
脊髄損傷に対する骨髄間質細胞移植の有効性・機序および併用療法に関する基礎的研究
Project/Area Number |
23791631
|
Research Institution | University of Fukui |
Principal Investigator |
中嶋 秀明 福井大学, 医学部, 助教 (10397276)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 急性脊髄損傷 / 骨髄間質細胞 / 細胞移植 |
Research Abstract |
急性脊髄損傷に対する骨髄間質細胞 (BMSC)移植は、組織修復・運動機能回復に寄与すると考えられているが、この機序については不明な点が多い。平成23年度は、急性脊髄損傷後急性期におけるBMSC移植が、macrophage活性に与える影響に特に注目し検討した。 SD ratを用い、急性胸髄損傷モデルを作成し、損傷後3日目に1×106個のヒトBMSCを損傷部に移植し経時的に評価した。 BMSCは移植後1週では損傷部周囲に分布していたが、5週ではBMSCは11.9%残存し、損傷部を含めた頭尾側方向に分布がみられた。 分布したBMSCは、神経グリア系細胞の間隙に入り込むように存在しており、分化した細胞は確認されなかった。BMSC移植群は、損傷後1週で組織修復作用をもつalternatively activated macrophage (M2 type; arginase-1, CD206で標識)の発現上昇(0%→32.2%)および組織障害性作用をもつclassically activated macrophage (M1 type; iNOS, CD16/32で標識)の発現減少(93.4%→11.7%)、TNFαおよびIL-6の発現制御、IL-4およびIL-13の発現上昇がみられ、損傷後後1週以降での運動機能の改善、損傷後5週でのcavity areaの縮小、、損傷部周辺におけるRT-97, GAP-43の発現上昇がみられた。 脊髄損傷後のBMSC移植は、急性期においてmacrophage分画をM1からM2 typeにshiftさせることによって炎症環境を変化させ、このことが亜急性期および慢性期における組織修復・軸索再生・運動機能回復に有利となる環境を形成すると考えられた。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度は、移植骨髄間質細胞の経時的な動態についての検討、骨髄間質細胞移植による組織修復効果・軸索再生効果・運動機能改善効果を検討、骨髄間質細胞移植の有効性の機序の検討など、おおむね当初計画した実験予定に準じて進行出来た。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成23年度の実験で、骨髄間質細胞の有用性については確認でき、その作用機序についての考察も行うことができた。移植骨髄間質細胞の生存率を上げる手段として、抗炎症薬剤の併用を実験計画にあげており、本年度はさらに有効性を高めるための手法を検討していく予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の予定通り、実験動物、薬品に使用し、さらに英文論文作成を行う予定である。
|
Research Products
(2 results)
-
[Journal Article] High-mobility group box-1 and its receptors contribute to proinflammatory response in the acute phase of spinal cord injury in rats.2011
Author(s)
Chen KB, Uchida K, Nakajima H, Yayama T, Hirai T, Rodriguez Guerrero A, Kobayashi S, Ma WY, Liu SY, Zhu P, Baba H.
-
Journal Title
Spine (Phila Pa 1976)
Volume: 36
Pages: 2122-2129
Peer Reviewed
-
[Journal Article] Tumor necrosis factor-α antagonist reduces apoptosis of neurons and oligodendroglia in rat spinal cord injury.2011
Author(s)
Chen KB, Uchida K, Nakajima H, Yayama T, Hirai T, Watanabe S, Guerrero AR, Kobayashi S, Ma WY, Liu SY, Baba H.
-
Journal Title
Spine (Phila Pa 1976)
Volume: 36
Pages: 1350-1358
Peer Reviewed