2013 Fiscal Year Research-status Report
血液型糖鎖抗原に結合する新規ペプチドによるABO不適合腎移植の拒絶抑制法の開発
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23791736
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Research Institution | Hirosaki University |
Principal Investigator |
米山 徹 弘前大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (50587649)
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Keywords | 血液型不適合腎移植 / ABO抗原標的ペプチド / 国際情報交換 |
Research Abstract |
血液型不適合移植では、ドナー臓器の血液型抗原とレシピエント血中の抗血液型抗体との抗体抗原反応を抑制するために、血漿交換、B細胞系免疫抑制剤との併用療法が行われているが、通常の腎移植よりも免疫抑制が強力なために顕在化する感染症および移植後の長期成績の低下が問題となる。平成23年度、ファージディスプレイ法によりA/B型抗原に結合する7残基のペプチド配列(RPRNPNK)を同定し、ABO抗原標的ペプチド(Blood group antigen targeting peptide、BATP)と名付けた。BATPは、赤血球上および腎組織上のABO抗原を減弱化し、抗原抗体反応を抑制することが示された。これらの研究成果を第99回日本泌尿器科学会など学会で発表し、臨床腎移植学会誌に発表した。平成24年度は、BATPの生体外還流によるヒト腎血管における血栓予防効果、BATPの腎血管内皮細胞における結合安定性および細胞毒性の検証を行った。BATPによる腎血管内皮細胞への細胞毒性は、ほとんど認められず、BATP灌流により、腎糸球体毛細血管において 抗血液型抗体IgGおよびIgMの沈着が効果的に抑制されたことから、血液型抗原をマスクすることで血液型抗原と抗体の抗原抗体反応を抑制することを明らかとした。これらの成果は、第28回欧州泌尿器科学会およびTransplantation 95, 418-425 2013に発表した。平成25年度は、平成24年度の試験研究の一部である血流下における腎血管内皮細胞へのBATPのマスク効果の検討について検討するために、蛍光標識したBATPを作成した。また遺伝子導入によりA型およびB型血液型抗原を発現するヒト腎血管由来初代培養血管内皮細胞(HGMEC)の作製の作成を試みたが、現在のところ、A型およびB型血液型抗原を発現するHGMECを得ることができていない。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究計画のひとつであるヒト腎血管へのペプチド灌流によるペプチドの血栓予防効果の検証について、おおむね順当に進呈しており、本年度は、その成果を国際異種移植学会(IXA2013)において発表した。もう一つの計画である。血流下における腎血管内皮細胞への血栓予防ペプチドのマスク効果の検討血流を模倣したシェアストレス下で培養したヒト腎血管由来の初代培養血管内皮細胞に蛍光ラベルしたペプチドを添加し、細胞表面の血液型糖鎖抗原のマスク効果について経時的に解析し、ペプチドの安定性について検討する試験について、現在、遺伝子導入によりA型およびB型血液型抗原を発現するヒト腎血管由来初代培養血管内皮細胞 (HGMEC)を作製を試みているが、A型およびB型血液型抗原を発現するHGMECを得ることができていないため、研究がやや遅れていると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度の試験研究の一部である血流下における腎血管内皮細胞への血栓予防ペプチドのマスク効果の検討について引き続き研究を進める。 平成25年度の計画である移植腎血管内皮上の血液型糖鎖抗原提示分子の同定および提示分子結合ペプチドの同定については、遺伝子導入によりA型およびB型血液型抗原を発現するヒト腎血管由来初代培養血管内皮細胞(HGMEC)を作製の試みているが、依然として、A型およびB型血液型抗原を発現するHGMECを樹立することができていない。本細胞が樹立できれば、研究の進展の目処がたつが、樹立困難な場合は、当初の研究計画である移植腎血管内皮上の血液型糖鎖抗原提示分子の同定および提示分子結合ペプチドの同定が困難である可能性が考えられる。 上記の研究計画が達成できない場合は、血液中の抗血液型抗体を除去するペプチド(抗血液型抗体結合ペプチド)を新たにファージディスプレイ法にてスクリーニングし、そのペプチド配列を同定する。本実験は、上記計画と平行して進める。 これにより、BATPによる血液型抗原のマスクと抗血液型抗体結合ペプチドによる血液中からの抗血液型抗体除去により、当初の目的である血液型不適合移植時の拒絶抑制法の開発を試みる。
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[Presentation] Blood group antigen-targeting peptide suppresses blood clotting and immunoglobulin deposition in renal glomerular capillaries after ABO-incompatible blood reperfusion2013
Author(s)
Tohru Yoneyama, Shingo Hatakeyama, Yuki Tobisawa, Hayato Yamamoto, Yuichiro Suzuki, Akiko Okamoto, Atsushi Imai, Takahiro Yoneyama, Yasuhiro Hashimoto, Takuya Koie, Michiko N Fukuda and Chikara Ohyama
Organizer
第12回国際異種移植学会議 (IXA 2013)
Place of Presentation
大阪
Year and Date
20131110-20131113
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