2012 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23791743
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
相澤 直樹 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (80595257)
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Keywords | 膀胱 / 求心性神経 |
Research Abstract |
メタボリックシンドロームおよび糖尿病による排尿動態を検討するため、高脂肪食誘発肥満マウスおよび遺伝的II型糖尿病ラットGoto-Kakizaki (GK)ラットを用いて膀胱内圧測定(CMG)を行った(研究A)。マウスによる検討では、普通食群に比べて高脂肪食群で、基礎圧・排尿閾値圧・最大排尿圧・排尿量が低い傾向と残尿量が多い傾向を認めたが、いずれも群間において有意な差ではなかった。GKラットの46週齢では、排尿圧の低下、膀胱容量・一回排尿量・膀胱コンプライアンスの増大が認められ、研究Bを応用して、膀胱の一次求心性神経活動の伝導速度を測定すると、GKラットでは有意に遅くなっており、少なくともII型糖尿病ラットでは、糖尿病によって膀胱知覚低下が惹起されていることが推測された。 他方、単一求心性神経活動(SAAs)に及ぼす各種薬剤の効果を検討した結果(研究B)、勃起治療薬であるPDE5阻害剤のtadalafilおよびsildenafilは、AδおよびC線維両者のSAAsを抑制し、tadalafilについてはacroleinで惹起されるSAAsの増大反応も抑制した。新規過活動膀胱治療薬のβ3作用薬Mirabegronは、膀胱内圧を一定にした等容量性状態において発生する筋原性の膀胱微小収縮の数を減少させ、この時、Aδ線維のSAAsは同期するように低下しており、Aδ線維の活動性には膀胱の微小収縮が促進性に関与している可能性が示唆された。 末梢レベルでの骨盤臓器組織の交叉性を調べるため、膀胱伸展受容求心性神経のSAAsに及ぼす直腸拡大の影響を研究Bを応用して検討した。その結果、C線維では膀胱および直腸の拡張伸展に伴う反応を共に受容する神経が一部存在し、それらの神経線維は、直腸を持続的に拡張することにより、SAAsの増大を誘発することが明らかになった。
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