2012 Fiscal Year Annual Research Report
尿路感染症由来緑膿菌臨床株の薬剤耐性機構とその迅速診断法の研究
Project/Area Number |
23791756
|
Research Institution | Kobe University |
Principal Investigator |
松本 穣 神戸大学, 医学(系)研究科(研究院), 医学研究員 (40533774)
|
Keywords | 緑膿菌 / 薬剤耐性 |
Research Abstract |
緑膿菌の薬剤耐性機構は多種多様であるが、尿路感染症の治療に頻繁に使用されてきたフルオロキノロン系抗菌薬に対しては、フルオロキノロン系抗菌薬の標的酵素の遺伝子変異と薬剤排出機構(efflux pump)の機能亢進が主として報告されている。 平成23年度に、①フルオロキノロン系抗菌薬の標的酵素の遺伝子変異について検討した。さらには遺伝子変異の迅速診断法としてDenaturing high performance liquid chromatography法(DHPLC)の検討も行った。 平成24年では、②efflux pumpの機能亢進について検討した。efflux pumpの機能亢進は、細菌の代謝産物の排出、あるいは有害金属の吐き出しなどの現象として進化したシステムと考えられるが、この機構がフルオロキノロン系抗菌薬だけでなく、その他の抗菌薬をも排出し、その薬剤感受性の低下に関与しているとされている。この機構による薬剤耐性の最も重要な点は、1つのシステムの獲得、つまり活性化により少なくとも12の薬剤排出機構が存在しており、本機構により細胞質内に侵入した薬剤だけでなく、ペリプラズムに存在する薬剤も排出されていると考えられる。定量的real-time RT- PCRの手法を用いて、efflux pumpを構成する代表的な蛋白をcodeするRNAの発現頻度の評価を行うことを目的としている。代表的なmdfA、yhiU、yhiV、acrA、marAなど計5種類の遺伝子においてRNAの発現量を全緑膿菌株で検討した。
|