2013 Fiscal Year Annual Research Report
胚性ゲノム活性化と分化全能性獲得における着床前期特異的新規SCAN遺伝子の役割
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23791862
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
小川 誠司 独立行政法人国立成育医療研究センター, 生殖・細胞医療研究部, 研究員 (10573371)
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Keywords | 着床前期胚 / 新規遺伝子 / 胚性幹細胞 / ノックアウトマウス |
Research Abstract |
着床前期胚発生の分子機構を解明することは, 体外受精における胚の質的向上に寄与するのみならず, 着床前期胚から樹立される胚性幹(ES)細胞の分化多能性に寄与する分子機構の解明にも繋がる. そこでin silico解析により着床前期で特異的に発現していると考えられた新規遺伝子Zfp371に着目し, 初期胚発生及びES細胞における役割を明らかにすることを目的とした.RT-PCRおよび免疫組織化学染色により着床前期各ステージ胚及びマウス成獣多組織において発現解析を行った. 機能解析のため, 本遺伝子の第2および第3エクソンを欠失させたノックアウト(KO)マウスを作成し, 表現型を解析した. さらに胚盤胞からノックアウトES細胞を樹立し, 遺伝子発現についてマイクロアレイを用いて野生型ES細胞と比較検討した.結果は,RT-PCRでは2細胞期から胚盤胞期の着床前期胚およびES細胞にのみ発現を認めた. 免疫組織化学染色においても着床前期胚で発現を認め, 特に8細胞期及びES細胞では核への局在が確認された. KOマウスは成獣まで発生し, 生殖能も維持されていた. 着床前期胚発生や産仔数にも異常は認められず, KOマウスの胚盤胞からES細胞(KO ES)を樹立可能で未分化性, 多分化能性にも異常は認められなかった. しかし, 核型解析を行ったところ, KOマウスでは高頻度にchromosomal breakageが認められることが明らかとなり, KO ES細胞と野生型ES細胞では有意に発現レベルの異なる遺伝子が抽出された(887 transcripts).KOマウスの表現型に異常は認められなかったが, 体細胞の染色体に構造異常(凝縮不全)をもつことから, 本遺伝子はゲノムや染色体の安定性に寄与している可能性が示唆された.
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Research Products
(4 results)