2011 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
23791891
|
Research Institution | Mie University |
Principal Investigator |
江藤 みちる (伊田 みちる) 三重大学, 医学部, 助教 (80393148)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
|
Keywords | 神経ペプチド / ストレス / 内耳 / シナプス / 発達 / 老化 |
Research Abstract |
本研究の目的は、生理活性ペプチドマンセリンの内耳における局在とストレス下での機能を明らかにすることである。本年度は、(1)内耳発生期および老齢期での内耳マンセリンの局在について免疫組織化学を行い、(2)ストレスモデルラットの作製を行った。(1)3か月齢の成獣ラットにおいて、マンセリンはコルチ器、すなわち内有毛細胞(IHC)へ投射する遠心性神経プレシナプス、外有毛細胞(OHC)とシナプス形成するtype II SGNの線維と、II型らせん神経節細胞(type II SGN)、耳石器および半規管膨大部に局在していた。(A)発生期において、生後7日まではコルチ器のクラウディウス細胞、ライスネル膜にマンセリンは局在し、生後10日からtype II SGNとその線維(OHCの直下)に局在した。生後15日からIHC直下プレシナプスに局在し、クラウディウス細胞とライスネル膜での局在は消失した。シナプトフィジン、小胞アセチルコリントランスポーターの免疫染色でIHCへの遠心性プレシナプスは生後4日で、OHCシナプスは生後10日で検出された。よってマンセリンは内耳の発達に伴って局在が変化し、IHCシナプスでは機能的成熟期から、OHCではtype II SGNの分化に伴い、聴覚制御に関わっていると考えられた。(B)老齢期においては、生後1年~1年半では3か月齢(成獣)と同様の局在を示した。(2)ストレス下での内耳マンセリンの機能を明らかにするため、ストレスモデルラットを作製した。既報に従い、8週齢ラットを1.5 cmの水深で5日間飼育したところ、胸腺の著名な萎縮がみられ、ストレス負荷を認めた。現在、ストレスラットにおける内耳マンセリンの局在について解析を進めている。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画通り、今年度は内耳発生期および老齢期の内耳マンセリンの局在について明らかにすることができた。さらに、ストレス下での内耳マンセリンの機能を明らかにするため、ストレスラットの作製を行い、胸腺萎縮によるストレス負荷も確認できた。ストレス下でのマンセリンの局在については現在解析中である。
|
Strategy for Future Research Activity |
まずは現在進行中である、ストレス下での内耳マンセリンの局在の解析について進める。マンセリンはII型らせん神経節細胞およびコルチ器・耳石器・半規管膨大部のシナプス部位に局在することが明らかになっているため、常法に従い免疫染色を行い、これらの領域について特に詳細に解析する。さらに、神経線維の走行についての詳細な検討のため、surface preparationによる内耳組織の免疫染色も行う予定である。次に、ストレスに対するマンセリンの機能について解析していくため、短期器官培養系を用いたマンセリンの神経保護効果について検討していく。過酸化水素やtert-butyl hydroperoxideで酸化ストレスを誘導し、ファロイジン染色やTUNEL染色、Caspase-3抗体による免疫染色などで細胞死や有毛細胞の脱落を評価し、マンセリン添加によりどの程度抑制されるかを調べる予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
今年度から器官培養系を行うにあたり、必要な機器はすでにそろっているが、培地やプラスチック製品などの消耗品を必要とする。マンセリンペプチドはすでに所持しているが、必要に応じて外部業者へ合成を委託する。実験動物(ラット)や免疫染色に必要な試薬・器具類を購入予定である。また、研究成果について、日本疲労学会(6月、東京)およびInternational congress of hystochemistry and cytochemistry(8月、京都)での発表を予定しており、旅費・参加費に使用する予定である。
|
Research Products
(9 results)