2012 Fiscal Year Research-status Report
ES細胞由来神経幹細胞を用いた、虚血性難聴に対する革新的な再生療法の開発
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23791903
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高木 太郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (20601024)
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Keywords | 虚血性内耳障害 / 骨髄幹細胞 / 静脈内投与 / 突発性難聴 |
Research Abstract |
突発性難聴の原因の一つに虚血性の内耳障害が挙げられる。これは蝸牛の血流動態が関与しているが、蝸牛を栄養している迷路動脈が終末動脈であるため、血管炎、血管攣縮、動脈硬化などで血流が遮断されると、急激に内耳障害が起きて難聴をきたすと考えられている。また近年、幹細胞を用いた再生治療の研究がすすめられている。以前、当科では虚血性内耳障害モデルに対して骨髄幹細胞を蝸牛内へ投与し、その有効性を検討する研究を行っていた。しかし、蝸牛内投与では臨床へ応用する際に、内耳障害をきたす可能性が示唆されたため、静脈からの全身投与の有効性を検討することとした。具体的な実験計画としては、虚血性内耳障害モデルスナネズミを作製し、ドナーとなるスナネズミの大腿骨より採取した骨髄幹細胞を、レシピエントの大腿静脈より投与する。投与1日目、4日目、7日目に聴性脳幹反応で聴力を測定した後、経心潅流固定を行い、内耳を摘出する。まず、全身投与された骨髄幹細胞の局在を調べるために、予め蛍光染色しておいた骨髄幹細胞を、作製した内耳の凍結切片で観察する。障害抑制の効果判定として、組織学的には内耳よりコルチ器を採取し、有毛細胞の核と聴毛を染色し、有毛細胞の脱落を幹細胞非投与群と比較する。内耳障害を抑制する機序として、GDNFなどの神経栄養因子の関連が考えられるため、神経栄養因子の発現の評価をウエスタンブロット解析を用いて行うこととする。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
実験計画としては、虚血性内耳障害モデルスナネズミを作製し、ドナーとなるスナネズミの大腿骨より採取した骨髄幹細胞を、レシピエントの大腿静脈より投与する。投与1日目、4日目、7日目に聴性脳幹反応で聴力を測定した後、経心潅流固定を行い、内耳を摘出する。まず、全身投与された骨髄幹細胞の局在を調べるために、予め蛍光染色しておいた骨髄幹細胞を、作製した内耳の凍結切片で観察する。障害抑制の効果判定として、組織学的には内耳よりコルチ器を採取し、有毛細胞の核と聴毛を染色し、有毛細胞の脱落を幹細胞非投与群と比較する。内耳障害を抑制する機序として、GDNFなどの神経栄養因子の関連が考えられるため、神経栄養因子の発現の評価をウエスタンブロット解析を用いて行うこととする。 まず、骨髄幹細胞の局在に関しては、作製した蝸牛の凍結切片のうち、迷路動脈、コルチ器、蝸牛軸の部分を特に注意深く観察した。迷路動脈の内腔には蛍光染色した幹細胞がみとめられた。コルチ器には幹細胞の侵入や沈着はみられなかった。蝸牛軸には、蝸牛らせん動脈の内腔と思われる部分に幹細胞の沈着をみとめた。続いて聴性脳幹反応の結果は、8,000Hz、16000Hz、32000Hzのいずれの周波数でも幹細胞投与群と非投与群を比較して、投与群の方が閾値上昇が有意に抑制されていた。有毛細胞の脱落に関しては、幹細胞非投与群と比較して、幹細胞投与群の方が脱落率は抑制されていた。
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Strategy for Future Research Activity |
突発性難聴の原因の一つに虚血性の内耳障害が挙げられる。これは蝸牛の血流動態が関与しているが、蝸牛を栄養している迷路動脈が終末動脈であるため、血管炎、血管攣縮、動脈硬化などで血流が遮断されると、急激に内耳障害が起きて難聴をきたすと考えられている。また近年、幹細胞を用いた再生治療の研究がすすめられている。以前、当科では虚血性内耳障害モデルに対して骨髄幹細胞を蝸牛内へ投与し、その有効性を検討する研究を行っていた。しかし、蝸牛内投与では臨床へ応用する際に、内耳障害をきたす可能性が示唆されたため、静脈からの全身投与の有効性を検討することとした。具体的な実験計画としては、虚血性内耳障害モデルスナネズミを作製し、ドナーとなるスナネズミの大腿骨より採取した骨髄幹細胞を、レシピエントの大腿静脈より投与する。投与1日目、4日目、7日目に聴性脳幹反応で聴力を測定した後、経心潅流固定を行い、内耳を摘出する。まず、全身投与された骨髄幹細胞の局在を調べるために、予め蛍光染色しておいた骨髄幹細胞を、作製した内耳の凍結切片で観察する。障害抑制の効果判定として、組織学的には内耳よりコルチ器を採取し、有毛細胞の核と聴毛を染色し、有毛細胞の脱落を幹細胞非投与群と比較する。内耳障害を抑制する機序として、GDNFなどの神経栄養因子の関連が考えられるため、神経栄養因子の発現の評価をウエスタンブロット解析を用いて行うこととする。 現在のところ、ウエスタンブロット解析までは良好な結果を得られており、今後はウエスタンブロットの解析をすすめていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
突発性難聴の原因の一つに虚血性の内耳障害が挙げられる。これは蝸牛の血流動態が関与しているが、蝸牛を栄養している迷路動脈が終末動脈であるため、血管炎、血管攣縮、動脈硬化などで血流が遮断されると、急激に内耳障害が起きて難聴をきたすと考えられている。また近年、幹細胞を用いた再生治療の研究がすすめられている。以前、当科では虚血性内耳障害モデルに対して骨髄幹細胞を蝸牛内へ投与し、その有効性を検討する研究を行っていた。しかし、蝸牛内投与では臨床へ応用する際に、内耳障害をきたす可能性が示唆されたため、静脈からの全身投与の有効性を検討することとした。具体的な実験計画としては、虚血性内耳障害モデルスナネズミを作製し、ドナーとなるスナネズミの大腿骨より採取した骨髄幹細胞を、レシピエントの大腿静脈より投与する。投与1日目、4日目、7日目に聴性脳幹反応で聴力を測定した後、経心潅流固定を行い、内耳を摘出する。まず、全身投与された骨髄幹細胞の局在を調べるために、予め蛍光染色しておいた骨髄幹細胞を、作製した内耳の凍結切片で観察する。障害抑制の効果判定として、組織学的には内耳よりコルチ器を採取し、有毛細胞の核と聴毛を染色し、有毛細胞の脱落を幹細胞非投与群と比較する。内耳障害を抑制する機序として、GDNFなどの神経栄養因子の関連が考えられるため、神経栄養因子の発現の評価をウエスタンブロット解析を用いて行うこととする。 今後もこの実験計画をすすめていく。次年度は特に、ウエスタンブロット解析の際に用いる抗体の購入に研究費が必要になると予想される。
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Research Products
(2 results)