2013 Fiscal Year Annual Research Report
ES細胞由来神経幹細胞を用いた、虚血性難聴に対する革新的な再生療法の開発
Project/Area Number |
23791903
|
Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
高木 太郎 愛媛大学, 医学部附属病院, 医員 (20601024)
|
Keywords | 内耳再生 / ES細胞 / 突発性難聴 |
Research Abstract |
突発性難聴は急激に発症して高度の感音難聴をきたす疾患である。感音難聴は内有毛細胞に障害がみられ一度障害されると再生しない。近年、内耳前駆細胞や神経幹細胞、胚性幹細胞などの移植により内耳有毛細胞が再生することが報告されている。以前に我々は一過性内耳虚血モデル動物に対し、造血幹細胞の蝸牛内投与が内耳障害を抑制することを報告した。しかし蝸牛内への投与では内耳障害の危険性があり、静脈内投与の効果について検討した。 今回、ABR閾値変化や内有毛細胞脱落割合は、骨髄単核球細胞投与群がコントロール群よりも軽微であり、内耳保護効果をもつことが確認された。骨髄単核球細胞による内耳保護効果のメカニズムは明らかではないが、投与された細胞の局在を検討した結果、主に蝸牛軸に存在し、コルチ器周辺には存在しなかったことから、有毛細胞への分化転換や、有毛細胞と細胞融合により保護効果を示した可能性は低いと考えられた。このため、骨髄単核球細胞による虚血性内耳障害のメカニズムとして、投与された細胞が局所にて栄養因子を分泌し、内耳障害を保護するということが予想された。そこで、神経栄養因子の発現をウエスタンブロット法を用いて解析したところ、GDNFとNT-3の2種類の栄養因子の発現が骨髄単核球細胞投与群では有意に上昇していた。以上より、骨髄単核球細胞は蝸牛軸まで到達し、栄養因子を分泌することで内耳保護効果を発揮したと考えられた。
|
Research Products
(3 results)