2011 Fiscal Year Research-status Report
角膜菲薄化疾患に対するコラーゲンクロスリンキングによる人工角膜実質移植の検討
Project/Area Number |
23791970
|
Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
宮井 尊史 東京大学, 医学部附属病院, 助教 (40599007)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 角膜菲薄化疾患 / コラーゲンクロスリンキング |
Research Abstract |
○当研究は、円錐角膜やペルーシド角膜変性症のように角膜実質が全体的に菲薄化している疾患やLaser in situ keratomileusis (以下LASIK)術後の角膜拡張症などエキシマレーザーにより人工的に角膜実質を菲薄化させる事によって起こる合併症、Mooren潰瘍やリウマチや膠原病などによる角膜周辺部潰瘍等角膜周辺部の実質が菲薄化する疾患に対する欠損部角膜実質を補填する目的で、コラーゲンクロスリンキングを用いた人工角膜実質素材とその補填方法の開発を目的とする研究である。○今年度は、使用するコラーゲンについての調査、検討を行い、将来的に臨床での応用を考慮して抗原性の低いアテロコラーゲンを用いる事になり、そのゲルおよびシートを中心に検討していくことになった。○コラーゲンクロスリンキングを行うにあたって、紫外線(UV-A)照射装置が当初の予定と変更になり、UV-A照射強度を3-45mW/cm2の範囲で変えることが可能であるAvedro社のKXL角膜クロスリンキングシステム及び、架橋補助材としては円錐角膜やLASIK術後の角膜拡張症の予防等に用いられる同システム添付のリボフラビン点眼液であるVibeXを使用する事になった。これらの変更により、様々な照射強度をでの角膜コラーゲンクロスリンキングを行うことが可能になり、架橋の程度を変えることにより人工角膜実質としての最適な状態を調査検討していくことになった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
実験使用装置の変更および、実験計画の一部変更による。
|
Strategy for Future Research Activity |
アテロコラーゲンを用いた紫外線によるコラーゲンクロスリンキングを摘出豚眼および、輸入人眼を用いた角膜実質欠損モデルに対して行う。紫外線照射装置には、円錐角膜やLASIK後の角膜拡張症の治療に用いられている照射強度を変えることができるAvedro社製UV-A照射装置KXLを用いて行う。KXLはUV-Aの照射強度を3-45mW/cm2の範囲で変えることができるため、様々な照射強度でコラーゲンの架橋を行い、最適な条件を検証する。また、現在臨床的に行われているコラーゲン角膜クロスリンキングの治療においては、角膜内皮細胞に対する障害を起こさないようにするための角膜厚は400μm以上必要であるとされているが、角膜実質菲薄化疾患においては、角膜厚が400μm未満のことがほとんどであるため、コラーゲンを充填した状態であっても、角膜内皮細胞に対する障害については検証する必要があると考えられる。輸入ヒト強角膜片および、白色家兎を用いて角膜内皮細胞に対する障害をスペキュラーマイクロスコープを用いて評価する。また、人工角膜実質上にはBowman膜がなく、角膜上皮の伸展、被覆に問題を生じる可能性があると考えられる。角膜上皮が被覆した場合は上皮の重層化などが正常と変わらないかどうか、白色家兎を用いて病理組織学的な検証を行う。また、角膜上皮の被覆が困難な場合は、治療用コンタクトレンズ装用などによる上皮化が行われるかを検証する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費については、実験用動物として白色家兎や摘出豚眼および輸入ヒト強角膜片の購入費、角膜実質欠損モデル作成のための、眼科手術用器材(開瞼器、手術用メス、手術用鑷子、マイクロ尖刀、角膜移植用トレパン等)、角膜クロスリンキング装置KXL専用のリボフラビン点眼液や手術用ディスポーザブルキットなどの消耗品、病理組織学的検査用の染色用試薬、抗体などの消耗品、および当研究の結果を発表する機会としての学会発表にかかる交通費等の必要経費、論文投稿における必要経費を計上する予定である。
|