2013 Fiscal Year Annual Research Report
オトガイ神経領域の炎症性疼痛および神経因性疼痛におけるグリア細胞の役割と動態
Project/Area Number |
23792337
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Research Institution | Osaka University |
Principal Investigator |
河野 彰代 大阪大学, 歯学部附属病院, 医員 (10570294)
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Keywords | ミクログリア / サテライト細胞 / オトガイ神経 / 神経因性疼痛 / 炎症性疼痛 / Iba1 |
Research Abstract |
オトガイ神経領域の神経因性疼痛発症の末梢性原因を探るべく、三叉神経節におけるグリア細胞の役割と動態についての研究を行ってきた。片側のオトガイ神経を結紮した神経因性疼痛モデルラットを用いて術後の機械刺激に対する逃避閾値の変化をvon Frey法によって観察した。また、正常ラットと術後1、2週ラットの三叉神経節におけるIba1(中枢神経におけるミクログリアのマーカー)、ED1(貪食細胞のマーカー)、SK3(サテライト細胞のマーカー)の発現を免疫組織化学的に観察した。正常動物ではIba1陽性細胞はED1を共発現する類円形の細胞で、三叉神経節全域に散在していた。また、ニューロンの周囲をSK3陽性細胞が取り囲んでおり、その外側にED1陽性細胞が位置していた。一方、神経因性モデルラットでは、術後1週以降、Iba1陽性細胞は術側の三叉神経第3枝領域のニューロン周囲において増加を認め、形態が変化していた。また術側の三叉神経第2枝および第3枝ニューロンが混在する部位においても同様の変化を認めた。一方で、反対側ではIba1陽性細胞の数や形態に有意な変化は認められなかった。 以上の結果より、三叉神経節におけるIba1陽性細胞は貪食能を持つ免疫細胞であり、神経損傷によって数の増加と形態の変化が認められることが明らかになった。これらの変化とvon Fray法による逃避閾値の低下が同時期に認められることから、Iba1陽性細胞とサテライト細胞の変化が一次ニューロンにおいて神経因性疼痛の発現に関与していることが示唆された。また、三叉神経第2枝および第3枝領域のニューロンが混在する部位でのIba1陽性細胞の変化が、第3枝のみならず第2枝領域の逃避閾値の低下に影響を及ぼし、直接損傷を受けていない部位での疼痛(異所性疼痛)の発現に関与していると考えられた。
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Research Products
(3 results)