2011 Fiscal Year Research-status Report
Docetaxel耐性口腔扁平上皮癌の樹立と耐性化機構の解析
Project/Area Number |
23792351
|
Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
高丸 菜都美 徳島大学, 大学病院, 助教 (40513031)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
|
Keywords | 耐性株 |
Research Abstract |
抗癌剤による化学療法の大きな問題点として、癌細胞の抗癌剤耐性の獲得がある。最近、抗癌剤耐性化の機序の解明やその耐性を予測する因子、すなわちバイオマーカーの研究が注目されている。口腔扁平上皮癌においては、5-fluorouracil(5-FU)やcisplatin(CDDP)に対する抗癌剤耐性が、各々の5-FUの代謝関連酵素活性の異常やexcision repair cross-complementation group 1の発現上昇によって引き起こされることが報告されている(J Proteome Res.7: 4784-91, 2008, Int J Oncol. 36: 1277-84, 2010)。 すなわち、5-FUやCDDPなど古くから使用されている抗癌剤の耐性化の機序は少しずつ明らかにさている。しかし、開発からの期間が短い DOCは、口腔癌に対して高い抗腫瘍効果を示すことが報告されている(Clin Cancer Res. 15: 4228-4233, 2009)が、口腔癌の DOCに対する耐性化機構についてはほとんど報告がない。また、DOCに対して耐性を示す口腔癌細胞モデルも樹立されていない。そこで、申請者は、口腔癌に対する化学療法の治療効果を向上させるために、DOCに対する耐性化機構の解明に着目した。 当教室において樹立した培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞株であるB88細胞とCAL27細胞株(ATCCより購入)を用いた。本研究で使用する癌細胞がDOCで細胞増殖が抑制されることは確認し、両細胞をDOC 1,10,100,1000pg/mlと順次、濃度をあげて培養し、DOC耐性の細胞株を樹立する。すでに両細胞はDOCの濃度をあげて処理し、親細胞よりDOC耐性を示す癌細胞は樹立しつつある。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
教室において樹立した培養ヒト口腔扁平上皮癌細胞株であるB88細胞とCAL27細胞株(ATCCより購入)を用いて、DOC濃度を徐々に上げていっているが、細胞はなかなか耐性を示さず、少しの刺激で細胞はすぐに死んでしまうため、非常に丁寧かつ慎重に実験を進めているため。
|
Strategy for Future Research Activity |
(1)ヒト口腔扁平上皮癌細胞をin vitroにてDOCで処理し、DOC耐性癌細胞を樹立する。(2)DOC耐性癌細胞の特性として、DOC以外の抗癌剤CDDP、 5-FU, peplomycin(PEP), bleomycin (BLM)に対して交差耐性を示すかを明らかにする。(3) DOC感受性癌細胞と耐性癌細胞を用いて、 mRNAとmiRNAの網羅的にマイクロアレイ解析からDOC耐性に関与している標的遺伝子とmiRNAを同定する。(4)(3)で発見した標的遺伝子とmiRNAの発現を誘導あるいは抑制することによって、(i)DOC耐性が解除され、DOCに対する感受性が回復するかin vitroで確認し、(ii) 癌細胞を移植したヌードマウスを用いてin vivoで同様に確認する。(5)DOC感受性あるいは抵抗性を示したヒト口腔癌組織を用いて、両組織間での標的遺伝子とmiRNAの発現比較を行い、DOC抵抗性との関連性について検討する。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
DOC耐性癌細胞の遺伝子の解析 親細胞と耐性癌細胞を用いて遺伝子の発現の解析を行う。両細胞からRNAを抽出し、遺伝子発現用マイクロアレイ(whole human genome, アジレント社)を行う。RNAの抽出はTRI zolを用いて行い、total RNAを回収する。得られたデータから必要な遺伝子の発現量の解析は、real-time PCR法を用いる。得られたデータは内部コントロールであるGAPDH mRNAを用いて標準化し、比較検討する。real-time PCR法はABI PRIZM○R 7000sequence detection system (Applied Biosystems)を使用して解析する。DOC耐性癌細胞のmiRNAの解析 親細胞と耐性細胞を用いてmiRNAの発現の解析を行う。両細胞をTaqMAN○R MicroRNA cells-to-CTTM kitを用いてサンプル調整を行い、TaqMAN ○R human MicroRNA array(whole human genome, Applied Biosystems)を行う。得られたデータから必要な遺伝子の発現量の解析は、miRNA real time PCR(TaqMan ○RmicroRNA assay)法を用いる。得られたデータは内部コントロールを用いて標準化し、比較検討する。DOC耐性の標的遺伝子とmiRNAの検討 得られたプロファイリングを用いて、耐性の原因となる標的遺伝子、miRNAをリスト化し、統計的に有意差のあるものを検出する。両結果から、候補となったmiRNAはどのようなパスウエイで遺伝子の発現を変動させるかも考察可能であり、いくつかの候補を同定する。両細胞間の発現差はreal time PCRで確認する。
|