2012 Fiscal Year Annual Research Report
心筋虚血再灌流障害による細胞死のメカニズムにおける揮発性麻酔薬の効用の解明
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23792396
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
稲村 吉高 大阪歯科大学, 歯学部, 講師(非常勤) (80595794)
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Keywords | 虚血性心疾患 / 心筋保護 / 揮発性麻酔薬 / オートファジー / アポトーシス |
Research Abstract |
モルモットのLangendorff灌流心を用い,30分間虚血,120分間再灌流を行った.これを対照群(CTL:n=8)とし,セボフルラン(1MAC;2%)を虚血再潅流直後に2分間又は再灌流中通して投与した群(POST,POST-L:n=8),オートファジー阻害剤である3MAを虚血10分前より再灌流中通してCTL, POST群に投与した群(CTL+3MA,POST+3MA,n=6)の5群を作製した.それぞれ左心室圧(LVDP),左室終末拡張期圧(LVEDP),冠灌流量,心筋梗塞サイズ(IS; TTC染色)を各群間で比較した.また,全群再灌流10分又は120分後に心筋を採取し,Western blotによりオートファジー関連蛋白であるLC3I, LC3IIの発現について検討した(n=4).また,同様に再灌流後の心筋を採取し,電子顕微鏡にてオートファゴゾーム形成の評価も行った. 虚血再灌流後,POST,POST-LはCTLに比べてLVDPは有意に高値で,LVEDPは有意に低値であった.梗塞サイズはPOST,POST-LではCTLに対し有意に減少した.POST,POST-LにおけるLC3-II/Iの発現は再灌流10分では全群で有意差は認めなかったが、再灌流120分でCTLよりも有意に増加していた. POST,POST-LでみられたLC3-II/I発現の増強は3MAの投与により消失した.また再灌流120分でPOST-L群でオートファゴゾーム形成が有意に認められ,3MAの投与でオートファゴゾームの形成は抑制された. SPCはオートファジーを誘導し,ISを減少させた.この保護効果はオートファジー抑制剤3MAの投与によって消失した.SPCの心筋保護効果にはオートファジーの誘導が必要であることが示唆された.
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