2012 Fiscal Year Research-status Report
骨髄幹細胞移植を用いた歯科矯正治療による細胞傷害とその回復機構の解明
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23792456
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Research Institution | Matsumoto Dental University |
Principal Investigator |
村岡 理奈 松本歯科大学, 歯学部, 助教 (20549430)
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Keywords | 骨髄幹細胞 / 歯根膜 / 歯周組織 / 歯科矯正学 / 治療 / 修復 / 再生 |
Research Abstract |
昨年に引き続き、歯科矯正学的牽引モデル動物の作製を行い、歯周組織を構成する細胞ならびに骨髄幹細胞の生体内における動態と分化に関する研究を行ってきた。歯科矯正学的モデルマウスにおける歯科矯正学的牽引時における歯周組織の変化では、メカニカルストレス付与後の牽引則において歯根膜線維芽細胞および骨芽細胞にRunx2、Msx2、ALP、BMP等を始めとする骨形成関連因子の局在と陽性反応増強を確認すると同時に、歯周組織への適切な力学的刺激が骨芽細胞の分化促進に重要であることを明らかにした。また、これら歯周組織の恒常性維持や組織修復、細胞分化にHSPsと神経内分泌関連因子が密接に関与していることを示した。骨髄幹細胞の歯牙および歯周組織細胞への分化能に関する研究では、骨髄幹細胞が骨芽細胞、破骨細胞、歯根膜線維芽細胞、および歯髄細胞に分化することを確認し、これらの前駆細胞となる骨髄幹細胞は、歯周組織では主にリモデリングの盛んな部位に生着することを示したが、これらの現象も神経系の細胞と密生に関連していることを実験により示した。今回行った一連の実験において、歯科矯正学的牽引時の歯根膜組織では、骨髄幹細胞が骨芽細胞や破骨細胞に積極的に分化誘導されており、歯牙牽引時における当該領域の骨髄幹細胞の機能解明を行ったところ、メカニカルストレスを受け積極的に歯周組織のリモデリングが行われている部位に骨髄幹細胞由来の細胞が多数存在していることが確認された。また当該領域では神経内分泌因子の産生と局在が著明であった。この結果により人為的に幹細胞を所定の場所に供給できる可能性が現実味を帯びてきた。今回の結果を吟味することで効率的な幹細胞の局所への誘導、歯周組織リモデリングや修復の促進、および効率的な矯正学的歯の移動が可能になると考えられる。今後は歯周組織における神経系の働きを検索対象に加えていく。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
GFPトランスジェニックマウス由来骨髄移植マウスの作製、歯科矯正学的牽引モデルマウス(歯科矯正実験モデルマウス)の作製ともに成功し、これらの実験動物を用いて順調に実験を行っている。平成24年度は、23年度に引き続き歯科矯正学的メカニカルストレス付与時のリモデリングや組織修復に関わる因子の検討と、矯正学的治療によって生じる歯周組織の変化と骨髄由来幹細胞の動態の詳細な検討を行った。この結果、骨髄幹細胞の局所誘導に関連する非常に重要なファクターの発見に至った。これらの研究成果は学術雑誌と国内外の学会発表で出版公表しており、実施計画の点からも公費研究としての観点からも順調に進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画どおり、矯正学的歯の移動、歯周組織リモデリングにおける骨髄幹細胞に動態をさらに詳細に分析する。特に骨髄幹細胞の局所誘導と分化誘導に関する知見を得るため、組織学的な観点から詳細な検討を加えていく。さらに、平成24年度に発見した神経系と幹細胞の関係性への検索を深める。これにより効果的な新規矯正治療法の開発に必要な知見を得る。また、これらの技術の発展応用となる外傷等による組織傷害の修復に関する新規治療法の可能性についても検討したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究費は問題なく使用している。次年度使用額が生じた大きな原因は、当該年度の物品費と旅費の支出が予定額以上であったため、その他の支出を意図的に抑えた事による。今年度は主に研究成果の発表、公表に際してこの次年度使用額を充てていきたい。
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Research Products
(8 results)