2012 Fiscal Year Research-status Report
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23792491
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
西田 英作 愛知学院大学, 歯学部, その他 (10512519)
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 / 単球遊走因子 / 単球接着因子 |
Research Abstract |
C57BL/6Jマウスの歯周組織にIL-6を注入、局所の炎症を惹起させたところ、肝臓でのSAAのmRNA発現、血中SAA蛋白の上昇を確認した。このことは、歯周病によって血中SAA濃度が上昇した場合、炎症反応による血管内皮障害を起こし、MCP-1、IL-6、ICAM-1、VCAM-1等を発現するようになり、単球やTリンパ球、好中球などの炎症性細胞が血管壁へ浸潤し、動脈硬化発症のトリガーとなる可能性が考えられる。しかしながら、SAA産生上昇による動脈硬化症の発症、悪化の程度は解明されていない。 昨年度はヒト血管内皮細胞(human aortic endothelial cell: HAEC)に直接SAAを作用させることによってHAECにどのような分子変化が起きているか検討したところ、コントロールと比較して、HAECにSAAを添加することにより単球の走化・接着因子mRNAは24間以内で約100~800倍の発現上昇を認めた。また、 SAA刺激により HAECに炎症性サイトカインmRNAの発現上昇がみられた。すなわち、HAECにSAAを添加することによって単球の走化および接着因子の上昇がみられ、動脈硬化の初期病変段階の分子生物学的過程が確認できた。 本年度は、この実験系のノックダウン実験をin vivoで行うことを目標とした。すなわち、動脈硬化易形成マウスであるApoEノックアウトマウスに、ターゲットとしているShSAAを作用させ、昨年度まで発現確認していた単球接着系、単球遊走系因子の発現を確認することを目的としていたが、後述するが、所属が変更したこともあり、ShRNAの条件設定が順調でなく、現在、in vivoからin vitroの実験系の変更を試みている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成23年度の研究計画は、血清アミロイドA(以下SAA)を添加することによって、ヒト血管内皮細胞における接着関連遺伝子発現の変化を確認すること、発現するタンパクの変化を検討することであり、平成23年度末の実施状況報告書では、おおむね順調に進行していると報告した。 しかしながら、平成24年度ではノックダウン実験で使用するShRNAiの条件決定に試行錯誤し、最終的には後述のように、in vivoからin vitroへ実験計画を変更することとなった。また、異動により研究拠点が松本歯科大学から愛知学院大学歯学部へと変更になったため、操作器具の変更およびローカルルールの把握が必要となり、進捗状況に遅れが生じてしまった。
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Strategy for Future Research Activity |
平成24年度ではノックダウン実験で使用するin vivoにおけるShRNAiのウイルスベクターの作製に多少の難があった。その理由として最も大きなものは、異動により研究拠点が松本歯科大学から愛知学院大学歯学部へと変更になったたことである。研究室を移動すると、操作器具の変更およびローカルルール等が把握が必要となり、進捗状況に遅れが生じてしまった。よって、本年度から来年度にかけてin vivoからin vitroへ実験計画を変更することとなった。 平成25年度は、in vitroに実験系を組み直し、まずはhuman ShRNAiを作製し、トランジェントトランスジェニックの系を確立する。そして、平成23年度で設定したヒト血管内皮細胞(HAEC)の条件を使用し、HAEC SAA添加群、SAAノックアウト群、コントロール群の比較を行い、当初in vivoで行う予定であった実験系を再現したい。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度にもヒト血管内皮細胞の培養試薬と、遺伝子発現確認のための試薬を購入すること、また学会発表の経費として未使用額284,345円を充てることにしたい。
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Research Products
(1 results)