2013 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
23792491
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
西田 英作 愛知学院大学, 歯学部, 非常勤講師 (10512519)
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Keywords | 歯周病 / 動脈硬化症 / 血管内皮細胞 / 単球遊走因子 / 単球接着因子 |
Research Abstract |
局所の炎症である歯周病によって、肝臓で代謝されたSAAが抹消末梢血液内で濃度が上昇した場合、炎症反応による血管内皮障害を起こし、MCP-1、IL-6、ICAM-1、VCAM-1等を発現するようになり、単球やTリンパ球、好中球などの炎症性細胞が血管壁へ浸潤し、動脈硬化発症のトリガーとなる可能性が予測される。しかしながら、SAA産生上昇による動脈硬化症の発症、悪化の程度は解明されていない。そこで、ヒト血管内皮細胞(human aortic endothelial cell: HAEC)に直接SAAを作用させることによってHAECにどのような分子変化が起きているかを検討した。コントロールと比較して、HAECにSAAを添加することにより単球の走化因子であるMCP-1、接着因子であるICAM-1、VCAM-1 mRNAは、24間以内で約100~800倍の発現上昇を認めた。また、SAA刺激により、HAECには炎症性サイトカインであるIL-6 mRNAの発現上昇もみられた。加えて、HAECにはSAA mRNAは発現しない、もしくは、ごく短時間で発現がなくなることが予想された。 SAAは主に肝臓で産生されているが、末梢血単球や血管内皮細胞から産生されているという報告もあるが、今回はHAECにおいてSAA mRNAの発現は確認できなかった。本研究結果において、HAECにおける単球遊走・接着因子は、SAAを添加することによって100倍以上の発現量を示したことから、本実験系は生体内基準値の3倍強の濃度でも十分にHAECを炎症状態、つまり、血管内皮細胞における動脈硬化症の初期状態をin vitroで再現できたことが予想できる。 以上の結果より、ヒトのHAECにSAAを添加することによって単球の走化、および接着因子の上昇がみられたことは確認されたことにより、局所の炎症性疾患である慢性歯周炎が原因でとなり、血中に高濃度SAA存在下の状態がの継続することにより、アテローム動脈硬化症が発症のする可能性が示唆された。
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