2011 Fiscal Year Research-status Report
歯科医療環境実態調査に基づく感染予防対策充実に関する研究
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23792518
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Research Institution | Saitama Prefectural University |
Principal Investigator |
渡辺 朱理 埼玉県立大学, 保健医療福祉学部, 講師 (80585026)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 歯科医療環境 / デンタルチェアユニット給水系 / 細菌汚染状況 / バイオフィルム形成 |
Research Abstract |
歯科医療の多くは外科的処置を伴い、歯科医療環境は患者の唾液や血液が常時飛散する状況であるため、近年の新型インフルエンザ流行、多剤耐性菌や新型耐性菌による院内感染等を契機に、感染予防対策の整備や充実は急務の課題である。本研究では、歯科医療における感染予防対策の導入、さらに感染予防対策に繋げるための歯科医療環境の清浄度を改善する方策を検討するために、1)歯科医療環境における細菌汚染状況調査、2)歯科医療環境の感染予防対策評価指標への実証検討を目的に研究を行った。そこで、23年度は、以下のような成果を得て、研究を継続している。1)今年度は歯科医療環境、特に配管内にバイオフィルム形成が問題視されているデンタルチェアユニット給水系における細菌汚染状況調査を実施した。歯科診療の臨床現場で使用されているデンタルチェアユニットおよび学生の臨床実習用に使用されているデンタルチェアユニットの全ての配管内にはバイオフィルム形成に由来する細菌汚染を認め、その対策が急務であることがわかった。2)歯科臨床の現場で使用されているデンタルチェアユニットと学生実習用に使用されているデンタルチェアユニット給水系における菌種について特定し、それぞれのデンタルチェアユニットの菌種の生息状況を比較した。3)デンタルチェアユニット配管内の細菌数は、フラッシングによって時間とともに減少し、数分後には全てのデンタルチェアユニット給水系の細菌数は水道水の基準値以下になることを認めた。4)デンタルチェアユニット周辺の清浄度調査として、歯科医療環境への飛散状況を食品衛生検査で実施されている簡便で迅速なATPふき取り検査を使用して調べている。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
歯科医療環境における細菌汚染状況調査で、今年度は特にデンタルチェアユニット給水系に焦点をあて、研究計画書に示した項目について、研究協力者と協力して概ね進めることができた。デンタルチェアユニット給水系の細菌生息状況は主に培養法によって、院内感染で問題となる薬剤耐性菌についても調べた。学内臨床学生実習で使用するデンタルユニット給水系についても調べ、フラッシングの効果を実証した。
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Strategy for Future Research Activity |
今年度の成果を基に、次年度以降もデンタルチェアユニット給水系の汚染状況調査を多くの歯科診療現場で引き続き行い、給水系における感染予防対策評価指標の策定に向けて、更なる検討を行っていく予定である。さらに、患者の唾液や血液などが周囲にミストとして飛散する状況下にある歯科医療環境でのデンタルチェアユニット周辺汚染状況調査もあわせて行い、歯科医療における感染予防対策や歯科医療従事者に向けての感染予防対策教育へ繋げていけるように研究を進めていきたいと考える。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度は23年度と同様に、研究費は歯科医療環境における汚染状況調査や清浄度調査を行うため、調査用の一般試薬類、検査キット、プラスチック・ガラス器具類、分子遺伝学実験試薬類などの消耗品に主にあてる予定である。50万円を超えるような備品類の購入の予定はない。また、研究費は研究の成果発表のための学会出張(日本歯科衛生学会 第7回学術大会、盛岡市民文化ホール(マリオス内)、平成24年9月15日(土)~17日(月・祝))、また学術雑誌への投稿費用や印刷費などでも使用する予定である。
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Research Products
(4 results)