2014 Fiscal Year Annual Research Report
看護技術がもたらす気持ちよさの解明:温罨法の効果検証から尺度開発へ
Project/Area Number |
23792563
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Research Institution | Tokyo Women's Medical University |
Principal Investigator |
加藤 京里 東京女子医科大学, 看護学部, 講師 (70385467)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 看護技術 / 温罨法 / RCT / アンケート調査 / 気持ちよさ |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題の目的は“看護技術の気持ちよさ”の解明である。結果は、以下において貴重な知見となり看護学の発展に寄与する。①看護技術の気持ちよさに関する臨床での介入評価研究はこれまでほとんど行われていない②気持ちいいケアの効果に関して患者、看護師両者の視点からその構造を解明するモデルは現在まだみあたらない。
平成23~25年度:後頸部温罨法のランダム化比較試験を、入院患者60名を対象に実施した(最終的に計51名,温罨法群27名,対照群24名)。共分散構造分析による効果モデルで、「手掌温を上昇させ、夜間睡眠の促進、自覚症状の軽減、気持ちの安定につながり、入院患者がより生活しやすいように心身を整え、回復を促すきっかけとなる」後頸部温罨法の快が説明された。
平成26年度:温かくて気持ちいい看護技術に関して、5病院の臨床経験5年以上の病棟看護師229名にアンケート用紙を配布し、135部の返送を受けた(回収率59%)。「温かくて気持ちいい」看護技術は順に、「足浴」「背部蒸しタオル」「入浴」であった。患者の反応についての5段階リッカート尺度による52の質問項目で共分散構造分析を行った。作成されたモデルでは、看護技術実施中に「温かくて気持ちいい」患者は、実施直後に「安楽」がもたらされ、手足は温かく、笑顔で休む「休息」と、元気が出る「活力の向上」の両者がもたらされた。その後、排泄や食、生活リズムの「生活改善」がはかられ、肩こりや冷えの「症状緩和」、人の思いやりに感謝する「気持ちの安定」が生じることが説明された。自由記載では、「温かくて気持ちいい」看護により患者の語りは質的・量的に変化し、患者の笑顔や喜びに触れ、看護師自身にも喜びの感情が湧きあがり仕事のやりがいにつながること、また患者が不安などの思いを打ち明けられるような人間関係の発展につながったことが明らかになった。
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