2015 Fiscal Year Annual Research Report
エンド・オブ・ライフ・ケアに携る臨床看護師に対する看護倫理教育プログラムの開発
Project/Area Number |
23792589
|
Research Institution | Kyoto University |
Principal Investigator |
竹之内 沙弥香 京都大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (00520016)
|
Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2016-03-31
|
Keywords | 看護倫理 / End-of-Life Care / 看護継続教育 / 臨床倫理 / ターミナルケア / 倫理教育 / エンド・オブ・ライフ・ケア / アドバンス・ケア・プランニング |
Outline of Annual Research Achievements |
最初の2年間には、我が国のエンド・オブ・ライフ・ケア(以下、EOLケア)にたずさわる臨床看護師を対象とした、新たな看護倫理教育プログラム(以下、本プログラム)の内容やあり方について検討した。平成25年度には、効果的な学習を促すカリキュラムの枠組みである教育の分類体系に基づき、認知・感情・精神運動の各ドメインに働きかけられる要素を本プログラムに補充できるよう検討を重ね、平成26年度には本プログラムのパイロットスタディを実施した。 平成27年度には本プログラムを2回開催し、その教育的介入が参加した看護師に及ぼす影響を倫理的感受性、死にゆく患者に対する看護師のケア態度、アドバンス・ケア・プランニング(以下、ACP)に関する認識及び実践に及ぼした影響の3つの指標を用いて検証した。 解析の対象は、本プログラムに参加し、次期式質問し調査への参加に同意した看護師45名[年齢:42.7±8.8(SD)歳、臨床経験:15.6±11.3(SD)年、男性:1名、女性:44名]であった。 解析の結果、本プログラムによる教育的介入による影響として、倫理的感受性には有意に変化が認められず、死にゆく患者に対する看護師のケア態度において、患者と差し迫った死について対話することを気まずく感じることが減少する傾向にあることが明らかになった。さらに、ACPは患者が意思決定能力を失った際にその後の医学的処置を決定するための有効な手段であるとする認識が有意に高まり、患者の治療・ケアの目標を確認するというACPの実践が有意に高まっていた。これらの結果から、事例検討や少人数のロールプレイ及びグループディスカッションから構成される本プログラムによる教育的介入は、EOLケアに携わる臨床看護師の死にゆく患者に対する看護師のケア態度に正の影響を及ぼし、ACPの有効性に関する認識を高め、患者の治療やケアの目標を確認するというACPの実践を促す影響を及ぼす可能性があることが示唆された。
|