2011 Fiscal Year Research-status Report
「高齢がん患者の生活史に注目した看護介入プログラム」の開発
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23792595
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Research Institution | The University of Tokushima |
Principal Investigator |
今井 芳枝 徳島大学, ヘルスバイオサイエンス研究部, 助教 (10423419)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢がん患者 / 生活史 / がんサバイバー |
Research Abstract |
本研究は「高齢がん患者の生活史に注目した看護介入プログラム」を開発することを目的としており、今年度は【生活史に関しては,ライフヒストリーやナラティブ・アプローチ,回想法,自分史など様々なとらえ方より看護ケア方法として取り込まれている.そのため,今回「高齢がん患者の生活史に注目した看護介入プログラム」を開発するにあたって,高齢がん患者のケアの視点として用いるための"高齢がん患者の生活史"に関する概念を検討することが必要であり,概念探求を行う.】予定であった。 まず、「高齢がん患者の生活史」の概念探求を行うにあたり、生活史というキーワードで過去にどのような研究がどの数ほどあるのかを把握した。そこで本学の検索サイトである医中誌を基にして「生活史」というキーワードで、各年代別に研究数を把握し、更に各研究内容を調べた。加えて、研究内容から「生活史」を本研究で用いる意味合いで使用している質的研究を抜き出し、そこから「生活史」という用語が、各質的研究内でどのように用いられているのかを検討した。その結果、「生活史」は多数の意味合いを含む用語であることを発見した。同時に、「生活史」という用語にはライフストーリーやライフヒストリー、ライフレビュー等多数の類似する用語が混在しているため、各用語の整理を図書や先行研究を用いて行う必要性が生じた。 上記の「生活史」の言葉を整理する一方で、「高齢がん患者の生活史」の概念を生成するための手法を検討した。先行研究および図書の文献検討の中で、W&Aの概念分析の手法を用いて行うこととした。W&Aの概念分析の手法に関しては、著者が出している英語版の図書および日本語版の図書とW&Aの手法を用いている先行研究を取り寄せて、読み進めながら、概念分析の実施の仕方を検討した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
今年度では、「高齢がん患者の生活史」の概念分析を実施する予定であったが、実際に下記の状況から、まだその途中段階にあるため、区分のように判断した。(1)「生活史」の言葉には、ライフレビュー、ライフヒストリー等多数の類似する用語がある上に、未だに明文化された言葉の定義がなく、図書によっては類似用語になったり相違があるという意見があったりと、多数の図書を取り寄せて読み込んでいかなければならなかったため、すぐに概念分析が施行できなかった。(2)W&Aの概念分析の手法も日本語訳の図書や先行研究では読み取れない所があり、著書を翻訳しながら手法を検討しなくてはいけなかったこと。(3)徳島大学の図書館が改修工事になり、取り寄せもしくは図書購入で文献検討をしなければならなかったことに加えて、看護専門の文献の検索サイトが少なく、他大学の検索サイトを用いて行わなければ、検索の幅を広げることができなかったので、その調整に時間をとられたこと。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究の目的は「高齢がん患者の生活史に注目した看護介入プログラム」を開発することであり、下記の4手順で遂行していく予定である。1. 高齢がん患者のケアの視点として用いるための"高齢がん患者の生活史"に関する概念を検討する。2.規定した概念に基づいて、高齢がん患者の持つ生活史やその意味付けについて明らかにするために質的研究を実施する。3.質的研究の結果を基に文献や学識研究者の意見を参考にして「高齢がん患者の生活史に注目した看護介入プログラム」を作成する。4. 開発したプログラムを検証・評価し、より現実に適合する看護介入プログラムを開発する。平成24年度は、以下の4段階で研究を実施していく予定である。1.「高齢がん患者の生活史」の概念分析を規定する。2.規定した概念を基に、高齢がん患者と生活史との関連を明らかにするための質的研究計画を立案する。3.質的研究が実施できるように倫理審査やフィールドなどの研究するための環境を調整する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度の研究費の使用計画は、前年度で残された残金を基にして、概念分析実施に伴う文献複写費や図書の購入予定である。また、次年度の主軸となる質的研究に伴う事前準備に際して、インタビューに関連する機材の準備と記録媒体の経費や謝金の準備を行う。加えて、高齢がん患者の生活史に対する情報は少ないため、国内の日本がん看護学会をはじめとする国内学会、および国際がん看護学会等の国外の学会の参加や発表を通して、情報交流や意見を広く求めていかなければならない。そのための学会参加や宿泊費、旅行費が生じる予定である。
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