2011 Fiscal Year Research-status Report
術後急性期患者に対する身体抑制の実施および解除に至る判断基準モデルの構築
Project/Area Number |
23792598
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森 万純 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60533099)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2013-03-31
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Keywords | 身体抑制 / 術後急性期患者 / 集中治療室看護師 / 抑制3大原則 |
Research Abstract |
本研究の目的は、急性期病院で治療中の患者に対する身体抑制の実態と抑制3大原則(「切迫性」、「非代替性」、「一時性」)と抑制の適応に対する看護師の認識を明らかにし、術後急性期患者に対する身体抑制の実施・解除基準モデルを構築することである。 本年度は、集中治療室で治療を受ける患者に対する身体抑制について実態調査を行った。調査内容は、身体抑制の実施および解除に至る看護師の判断プロセスの実態と、3大原則の認識についてである。 対象は、術前に同意が得られた者で看護師が身体抑制の実施または解除、もしくはその必要性を検討した患者22名とその判断を行った看護師9名である。看護師の身体抑制実施および解除の判断場面に立ち会い、その行動過程について参加観察を行った。その結果、抑制が開始されたのは12例だった。そのうち9例は抜管に向けて鎮静剤を減量または中止後に上肢の動きがみられたことにより、両上肢のひも状抑制が開始されていた。一方で、調査中2例は年齢が若いこと、看護師の説明に対し明確な反応があり、危険な動きが見られないことから、身体抑制は実施されなかった。解除については、9例中6例で抜管後または患者の意識レベルが清明とは言えない場合でも、ルート類を触る動作が見られない場合に実施されていた。また、抑制3大原則の意識については、9名中7名の看護師が判断基準を基に介入を行っていた。挿管中に口元まで上肢を動かす状態を切迫性、抜管前後の予防的な抑制を一時性として判断していた。 看護師は、挿管中だからという理由で一概に身体抑制を実施するのではなく、患者の反応や動きをもとにその必要性について判断されていることが示唆された。今後は看護師が患者の反応をどのように捉え、判断しているのか、1事例ごとにプロセスを詳細に分析し、身体抑制実施および解除に至る判断基準のモデル構築に向けた調査用紙を作成する予定である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成23年度の研究計画として、(1)急性期の臨床現場で、看護師の身体抑制実施および解除の判断・行動過程の実態(身体抑制される対象者の特性や医療者側、環境的な要因等)について参加観察すること。(2)看護師が身体抑制の3大原則の判断基準をどのように認識し、実施および解除を行っているのか明らかにすること。(3)3大原則に分類される患者の特性およびその判断に関わる要因についてインタビュー調査し、分析すること。以上の3つを計画していた。その内の、(1)~(3)のインタビュー調査まではほぼ実施できていることから、研究はおおむね順調に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
看護師が患者の反応をどのように捉え、判断しているのか、平成23年度の実態調査で得られた研究対象の事例について1事例ごとに詳細に分析する。その結果を基に、現在曖昧で看護師独自の判断となっている身体抑制実施および解除に至る判断基準のモデル構築に向けた調査用紙を作成する。その調査用紙を国内の急性期医療施設に配布し、モデル案についての信頼性・妥当性を検討し、完成を目指す。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
1年目で得られたデータを基に、身体抑制の実施および解除に至る判断基準のモデル案を作成し、国内の約50施設前後の急性期病院に勤務している看護師に配布する予定である。そのため、国内外の文献や図書の購入、配布に伴う郵送代等の経費として使用する予定である。また、成果を発表・投稿するために学会参加費と旅費および研究結果投稿料、英語論文校正料に使用する。
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