2012 Fiscal Year Annual Research Report
術後急性期患者に対する身体抑制の実施および解除に至る判断基準モデルの構築
Project/Area Number |
23792598
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Research Institution | Ehime University |
Principal Investigator |
森 万純 愛媛大学, 医学(系)研究科(研究院), 助教 (60533099)
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Keywords | 術後急性期 / 身体抑制 / 看護師の判断 |
Research Abstract |
術後4日以内の急性期患者に対する身体抑制の実施に至る看護師の判断要因を明らかにするために、中国・四国地方の300床以上の急性期病院で現在、外科系(心臓血管外科、呼吸器外科、消化器外科、脳神経外科、頭頸部外科または耳鼻咽喉科、泌尿器科、婦人科・乳腺外科、整形外科、ICU、HCU)の病棟で常勤雇用中の看護師を対象に、自己記式質問紙調査を行った。研究協力が得られた23施設の看護師445名より回答を得た(回収率43.7%)。そのうち437名のデータを有効回答とし、分析を行った。 回答者の性別は女性96.1%、男性3.9%、年齢は20歳代35.7%、30歳代31.8%、40歳以上32.2%であった。所属部署は、ICUまたはHCUが23.8%、単科の一般外科病棟が36.6%、混合病棟が39.4%だった。臨床経験年数は、3年未満が14.4%、10年未満が30.5%、10年以上が41.5%だった。 抑制実施の要因の抽出には、重回帰分析(ステップワイズ法)を行い、有意水準は5%未満とした。チューブ類に触れるあるいは触れないに関わらず、ベッド上でそわそわと寝たり起きたりを繰り返すなどの動作がみられること(β=0.26、P<0.001)や、過去に術後せん妄を起こしたことがあること(β=0.17、P<0.001)、何らかのルート類を自己抜去したことがあること(β=0.17、P<0.001)、過去に転倒・転落の既往があること(β=0.17、P<0.01)が身体抑制の実施の判断の鍵となっていた。また、いつもより多重業務を行なわなければならない(β=0.10、P<0.05)という医療者側の人的環境も抑制実施の判断要因の一つであることが明らかとなった。 看護師が少しでもジレンマを感じることなくケアできるように、身体抑制実施の判断基準の構築および環境面の整備の必要性が示唆された。
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