2013 Fiscal Year Research-status Report
乳児期に聴覚障碍が疑われた児の親への看護支援に関する研究
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23792652
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤井 加那子 宮崎大学, 医学部, 助教 (30404403)
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Keywords | 新生児聴覚スクリーニング / 母親の体験 |
Research Abstract |
新生児聴覚検査においてreferとされた母親の体験と、出生後まもなく児の異常を伝えられた母親の体験の違いについて既存の研究と比較、考察を行った。その結果、母親たちに共通する体験としては、産後間もない時期に子どもの病気や障がいの可能性について告げられたことで【ショック】を受けていることであった。さらに【自責の念】を抱きながらも、少しずつ子どもに向きあい、病気や障がいを受け入れ、治療や療育に取り組もうとする姿勢があった。referとされた母親に見られた体験としては、refer(要精査)であるが故に、確定診断がつくまで【難聴でないことを祈る】日々が続くことがあった。そして、確定診断がつくまで迷いながら過ごし、療育も迷っていたなど、確定診断ではない状態で告知をされた苦しさが見られた。 両者の違いは疾患の種類や生命予後の違いもあるが、referとされた児の母親は曖昧な状態で過ごすことが非常に苦しく、育児に集中できないことや、迷いながら療育を続けることなど、様々な苦しさを抱えて確定診断まで過ごしていることが明らかになった。これを踏まえた上で、曖昧な時期を母親達がどのように乗り越えていたのか、具体的内容を把握することが必要であると判断された。同時に、母親たちの苦しさが支援システムの不備で起こっていることなのか、育児や障がいの受容過程の中で起こっていることなのかを整理する必要があることも明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
研究の遂行にあたり、他の先天性障害や疾患のある児の親の体験との違い、あるいは確定診断がつかない状態で過ごしている患者の体験と比較して、何が異なるのかという指摘を受け、検討を行った。これにより、当初予定していたアンケートおよびインタビュー調査を抜本的に見直す必要が生じた。
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Strategy for Future Research Activity |
療育が始まるまでの母親の体験や思いを把握するためのインタビューを実施する。その際にはこれまでの成果を活かした質問紙を作成する。同時に母親の求める支援を把握し、医療者が行っている支援と比較、阻害因子について検討を行う。 これまでの成果から、refer告知の際の支援も重要であることから、産婦人科看護師や小児科等にも調査範囲を広げていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
研究の意義と対象者選定に関する助言を受け、障がい児をもつ親の心理について既存の研究および文献について、再度検討する必要が生じた。また、専門家にも意見・アドバイスをもらい、これにより研究内容を見直す必要が生じた。 質問紙およびインタビューガイドの内容についての検討、および対象者についての意見を整理することに時間を要したため。 研究進行に遅延があるため研究補助者を活用し、研究の遂行を実施する。そのため、研究調査に掛かる費用(物品購入費、郵送費)および、研究補助者雇用費(データ入力、テープ起こし等)に研究費を充てたい。 また、調査がまとまり次第発表、および印刷物等での成果周知に研究費を充てる。
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