2014 Fiscal Year Annual Research Report
乳児期に聴覚障碍が疑われた児の親への看護支援に関する研究
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23792652
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Research Institution | University of Miyazaki |
Principal Investigator |
藤井 加那子 宮崎大学, 医学部, 助教 (30404403)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2015-03-31
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Keywords | 新生児聴覚スクリーニング / 家族支援 / 聴覚障がい児 |
Outline of Annual Research Achievements |
全国の新生児聴覚スクリーニング検査後精密検査機関において、精密検査から確定診断に至る期間に児と家族に関わる看護師を対象に、医療機関での看護支援の実態調査を実施した。その結果、以下のことが示された。 精密検査機関への初回受診時に「NHS検査結果をどのように受け止めているか」「普段の子どもへのかかわり方」について確認をしていた。また、行っている看護支援としては「検査結果のとらえ方に関する理解の把握」と「子どもの聴力や成長発達に対する不安の傾聴」を行っており、このうち「不安の傾聴」は継続的に支援が行われていた。Referと判定された子どもの家族への看護について回答者全員が「難しい」と感じており、その理由として最も多かったのが「不安の傾聴を行う時間の確保」であった。また、NHSスクリーニング検査の判定結果告知の際に看護師が同席することを、全員が「必要」と感じており、精密検査機関受診から確定診断までの期間の看護支援として、「母親の不安の継続的傾聴」「子どもの発達や発育状況を伝えること」を「非常に重要である」ととらえていた。現在の看護支援に対して75%が「課題がある」と認識しており、その内容は、「家庭での状況、家族の関わりなど生活がわからない」「説明時に看護師が同席できない」「NHSや難聴に関する知識が不足」「他に重篤な疾患を合併していると、聴覚に絞った支援にたどり着かない」であった。 今回の調査により、看護師は母親の感じる不安に対して早期より継続的に支援を行っていることが明らかとなった。一方で、児の成長・発達に関する情報の提供や児へのかかわり方に対する支援には差があり、回答者の施設の状況や聴覚障がいに関する知識の有無に影響されていることが示唆された。また、重篤な疾患の合併や低出生体重児など、児の生命にかかわる状況や複合障がいがある場合は、聴覚障がいへの支援は後回しとなる現状が明らかとなった。
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