2011 Fiscal Year Research-status Report
侵襲性新生児GBS感染症予防のための母児ケアシステムの開発
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23792658
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
脇本 寛子 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (40336706)
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Project Period (FY) |
2011-04-28 – 2014-03-31
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Keywords | 看護学 / 感染症 / 細菌 / 母子感染予防 / GBS / 薬剤感受性 / 血清型 |
Research Abstract |
本研究は,新生児GBS感染症予防のために,どのような新生児が新生児GBS感染症を発症しているのか発症要因等を明らかにすること(第一研究),新生児敗血症髄膜炎発症GBS株と非発症株のGBS株の異同を明らかにすること(第二研究)を目的としている. 平成23年度は,名古屋市立大学看護学部研究倫理委員会の承認および研究協力施設5施設において病院長の承認を得て研究を開始した.第一研究では,早発型GBS感染症4例,遅発型GBS感染症1例の収集ができた.早発型4例はGBSスクリーニングを実施されていたにも関わらず発症していた.3例は陰性で,陽性であった1例は帝王切開であったため抗菌薬の予防投与が実施されていなかったことから,偽陰性や分娩様式による対応が今後の検討課題と考えられた.遅発型の多くは早産児と報告されているが,本研究でも同様に早産児であり,GBSワクチンの導入や水平感染予防が重要と考えられた.第二研究では,新生児血液6株(発症株),新生児保菌54株(非発症株),妊褥婦腟保菌173株を対象とし,薬剤感受性試験および血清型別の比較検討を行った.薬剤感受性試験では,全てのGBSにおいてpenicillin系抗菌薬に耐性を示した株はなかった.発症株と非発症株を比較検討した結果,耐性率に変化はなかった.2006~2008年(1期)と2009~2011年(II期)の2群に分けて血清型分布の比較検討を行ったところ,腟保菌株で発症株に多いIa,III型が増加しており今後の動向に注意を要すると考えられた.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一研究では,研究協力施設として5施設の承諾を得て研究を開始することができた.多施設による早発型・遅発型GBS感染症の発症頻度に関する報告は少なく,多施設共同研究として研究を開始できた意義は大きい.5施設の内2施設において,新生児GBS感染症を発症した児とその母(症例)の情報収集を終了することができた.更に,発症要因を明らかにするために,新生児GBS感染症を発症児とその母(症例)と新生児GBS感染症を発症しなかった児とその母(対照)を比較検討するにあたり,対照の選定方法について研究協力医師と検討を重ね,研究精度の向上を図った. 第二研究では,今年度は新たに母児の臨床分離株81株の収集し,内52株の薬剤感受性,血清型の実施を終了した.更に,最近の知見をふまえ研究協力医師と検討した結果,分子遺伝学的手法(MLST法)と病原性、血清型との相関についての検討を優先することとした.そこで,分子遺伝学的手法(MLST法)を用いて発症株と非発症株の比較検討するため,分子遺伝学的手法(MLST法)について研究協力医師および臨床検査技師から具体的な解析方法について習得した.
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Strategy for Future Research Activity |
第一研究では,まず,5施設の内,新生児GBS感染症を発症した児とその母(症例)の情報収集が未完了である3施設の情報収集を優先する.次に、5施設において症例の比較対象となる対照の選定を明確にし,対照の対象者リストを作成し,情報収集にとりかかる.更に、各施設における発症数および出生数から,多施設による早発型・遅発型GBS感染症の発症頻度を明らかにする. 第二研究では,まず,分子遺伝学的手法(MLST法)を学内で実施し解析ができるように整備することを優先する.MLST法の解析を行い,発症株と非発症株の比較検討を行う.薬剤感受性試験および血清型は,試薬を効率的に使用するため,40株程度を目安に収集できた段階で順次実施していく.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として,650,000円(次年度使用額250,000円,次年度配分額400,000円)を計上する.次年度使用額250,000円は,分子遺伝学的手法(MLST法)の解析に使用する.平成23年度において,第二研究の新生児敗血症髄膜炎発症GBS株と非発症株のGBS株の異同を明らかにするための手法として,最近の知見をふまえ研究協力医師と検討した結果,分子遺伝学的手法(MLST法)を用いることとした.そのため,平成23年度は,分子遺伝学的手法(MLST法)の解析方法を習得した.平成24年度は,次年度使用額を用いて,分子遺伝学的手法(MLST法)の解析に使用する.物品費の内訳は,第二研究で優先して実施する分子遺伝学的手法(MLST法)450,000円,薬剤感受性試験・血清型別・GBS同定物品・GBS保存物品 200,000円の予定である. 旅費は,150,000円を計上し,研究協力依頼・情報収集・菌株収集のための研究協力施設への旅費,学会成果発表のための旅費宿泊費(長崎:4月,大阪:6月)に使用する予定である. その他として,50,000円を計上し,学術集会参加費,研究協力施設への情報収集のための市内交通費に使用する予定である.
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