2012 Fiscal Year Research-status Report
侵襲性新生児GBS感染症予防のための母児ケアシステムの開発
Project/Area Number |
23792658
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Research Institution | Nagoya City University |
Principal Investigator |
脇本 寛子 名古屋市立大学, 看護学部, 准教授 (40336706)
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Keywords | 看護学 / 感染症 / 細菌 / 母子感染予防 / GBS / 薬剤感受性 / 血清型 / MLST型 |
Research Abstract |
本研究は,新生児GBS感染症予防のために,どのような新生児が新生児GBS感染症を発症しているのか発症要因等を明らかにすること(第一研究),新生児敗血症髄膜炎発症GBS株と非発症GBS株の異同を明らかにすること(第二研究)を目的としている. 平成24年度迄に,第一研究では早発型GBS感染症確定例11例,早発型GBS感染症疑い例15例を収集でき,早発型GBS感染症の発症率は0.19(出生千対)で,平均在胎週数38週6日,平均出生体重3,045g,Apgar score 1分値の中央値9点,分娩様式は経腟分娩8例,帝王切開3例(常位胎盤早期剥離2例,横位1例)であった.危険因子(在胎37週未満,破水後18時間以上経過,38度以上の発熱)を有していた症例は,早産(33週)1例のみであった.在胎週数,出生体重,Apgar scoreは正常で,危険因子がなくとも発症していた児が多かった.早発型GBS感染症確定例11例のうち10例はGBSスクリーニングを実施されていたにも関わらず発症していた.5例は陰性で,2例は妊娠中に抗菌薬による内服治療後に陰性となった症例であったことから偽陰性の対応が今後の検討課題と考えられた. 第二研究では,新たに母児の臨床分離株38株を収集し,薬剤感受性試験,血清型の実施を完了した.薬剤感受性試験においてpenicillin系抗菌薬に耐性を示した株はなかった.病原性との関連から分子遺伝学的手法(MLST法)の解析が学内でできるよう整備し,現在までに入手できた発症株(血液・髄液・羊水由来)の解析を開始し解析中である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
第一研究では予定していた研究協力施設5施設において研究対象となる早発型GBS感染症発症児の情報収集が完了し,多施設における早発型GBS感染症の発症率を算出することが出来た.多施設による発症率に関する報告は少なく意義深い結果を得ることが出来た.更に,発症要因を明らかにするために,新生児GBS感染症発症児とその母(症例)と新生児GBS感染症を発症しなかった児とその母(対照)を比較検討するにあたり,対照の選定方法について研究協力医師と検討を重ね決定し,対照例の情報収集を開始した. 第二研究では,新たに母児の臨床分離株38株を収集し,薬剤感受性試験,血清型の実施を完了した.更に,研究協力施設において発症株(血液・髄液由来)5株の分与の手続きを完了し平成25年度早々に入手予定である.発症株を入手できることは病原性との関連から解析するにあたり意義が大きい.病原性との関連から分子遺伝学的手法(MLST法)の解析が学内でできるよう整備を完了し解析中である.
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Strategy for Future Research Activity |
第一研究では,まず,新生児GBS感染症発症児の母の情報収集を優先する.次に,新生児GBS感染症を発症しなかった児とその母(対照)の情報収集を行う.新生児GBS感染症発症児とその母(症例)と新生児GBS感染症を発症しなかった児とその母(対照)を比較検討し発症要因を明らかにする. 第二研究では,発症株(血液・髄液・羊水由来)の分子遺伝学的手法(MLST法)の解析を優先して行い,発症株におけるMLST型の傾向を明らかにする.平成25年度早々に入手予定である発症株(血液・髄液由来)5株の血清型を明らかにし,薬剤感受性試験は試薬を効率的に使用するため40株を目安に収集できた段階で実施する. 最終的に,第一研究と第二研究を統合し,発症要因,母児の属性とGBSの微生物側の要因を併せて解析し,GBS保菌妊産婦に対してどのようなケアを行うことが新生児GBS感染症予防に有効であるかを明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
物品費として,612,955円(次年度使用額162,955円、次年度配分額450,000円)を計上する.次年度使用額162,955円は,分子遺伝学的手法(MLST法)の解析に必要な経費を優先して計上する. 旅費は,100,000円を計上し,学会成果発表のための旅費(第87回日本感染症学会6月東京,第45回レンサ球菌感染症研究会6月東京)に使用する予定である.その他として,50,000円を計上し,学術集会参加費,研究協力施設への情報収集のための市内交通費,研究成果論文投稿料に使用する予定である.
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Research Products
(2 results)