2013 Fiscal Year Annual Research Report
わが国の男性における産後のうつの有病割合と、その予防要因の解明に関する縦断研究
Project/Area Number |
23792681
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Research Institution | National Research Institute for Child Health and Development |
Principal Investigator |
竹原 健二 独立行政法人国立成育医療研究センター, 政策科学研究部, 研究員 (50531571)
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Keywords | 産後うつ / 縦断研究 / メンタルヘルス / population-based study / 父親 |
Research Abstract |
本研究では、妊産婦とそのパートナーの産前産後のメンタルヘルスについて状況を把握するために、妊娠20週から産後3か月までの追跡調査を実施した。妊娠20週のベースライン調査への回答が得られた262組のカップルを対象に自記式質問票によって、データを収集した。産後3か月時にも、197組の対象者から回答が得られ、当該時期に父親を対象に実施した調査としては、極めて高い回収率となった。 EPDS(エジンバラ産後うつ病質問票)などにより、対象者のメンタルヘルスの推移を観察したところ、ハイリスク者の割合は男女ともに妊娠期がもっとも高く(男性:9.1%、女性11.5%)、産後しばらくは頻度が低下するものの、産後2~3か月にかけて、再度、ハイリスク者の割合が上昇することが示された。男女ともに初産婦の方が経産婦に比べて、EPDSのハイリスク者の割合が高く、初産婦の夫婦へのケアをより重点的におこなう必要性が示された。 他の研究班において、本研究と同じ研究デザインで妊産婦を追跡した結果と比較してみると、EPDSのハイリスク者の割合の推移は異なり、それぞれの調査対象地域の特性から、分娩時の入院後や、里帰りを終えるなど、周囲から受けるサポートが減った直後が、男女ともにメンタルヘルスの状態が悪くなりやすいことが示唆された。それぞれの時期のQOLを測定してみると、妊産婦においては、産後数日から1か月にかけて、「ぐっすり眠れない」といった項目が強くQOLを低下させていることが示された。夫婦のいずれもがEPDSでハイリスクと判定された家庭は、妊娠期には全体の18.7%、産後でも10%を越えていた。夫婦のメンタルヘルスは、相互に関連しあうことが明らかになるとともに、両親のメンタルヘルスが悪い場合、育児などへの影響が懸念される。母親のメンタルヘルスのみならず、父親のメンタルヘルスにも着目することが公衆衛生上、極めて重要であることを示す結果が得られた。
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Research Products
(2 results)