2011 Fiscal Year Annual Research Report
完全人工心臓の駆動方式解析のための微小循環観察装置の開発
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23800020
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
井上 雄介 東京大学, 大学院・医学系研究科, 特任研究員 (80611079)
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Keywords | 微小循環 / 血管新生 / 人工心臓 / 足場材料 / カメラ / 完全人工心臓 / TAH / 顕微鏡 |
Research Abstract |
人工心臓の駆動様式(拍動流と連続流)が循環生理学的に生体へどのような影響を与えるかということを明らかにすべく、体内埋め込み型の超小型顕微鏡装置を開発し、微小な末梢循環における血流の観察・影響解析を行う。連続流・拍動流のどちらも駆動可能な完全人工心臓である波動型完全人工心臓を用いて実験を行うことで、個体差等の外乱がとても小さな実験を行うことが可能となる。本年度では、超小型顕微鏡装置の基礎的な開発を行い、低倍率で全体像を観察可能なものから高倍率で赤血球を観察可能な装置まで3種類の装置を開発した。また観察装置に生体医療材料である高分子スキャッフォルドを組み込み、そのスキャッフォルドに血管を新生させることで、安定した視野と解像度を確保することを試みた。短期慢性動物実験を3度行った。最長8日間完全人工心臓で駆動し、その間観察を続けた。人工心臓を埋め込んだ動物には事前に観察装置を埋め込んでおき、通常心臓と機械的人工心臓での観察比較を行った。観察装置は最長38日間埋め込みを行って、その間継続して観察を続けた。観察装置に組み込んだスキャッフォルドには血管が新生することが確かめられた。また、スキャッフォルドに新生した血管を観察することで、体動等に影響を受けることなく安定して血管を観察することができた。観察装置のスキャッフォルドに新生した生体組織を実験後に摘出し、光学顕微鏡を用いて組織学的に評価を行った。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
主となる研究要素である微小循環観察装置の開発は順調で、足場材料に新生する血管と組織を30日以上安定して観察することが出来ている。しかしながら、完全人工心臓システムは大変複雑であり、実験動物を長期間生存させることが困難である。動物が長期生存することで血行動態を解析することが出来ると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
現在開発している微小循環観察装置は血管及び組織が足場に新生する様子は、大変きれいに観察できているものの、その解像度はまだ血球ひとつひとつを観察可能にするほどには高くない。今後より高倍率の微小循環観察装置を開発し、駆動方式による血行動態および血球の流れを観察すべく研究を進める予定である。動物の長期生存に関しては別プロジェクトで完全人工心臓の開発が現在も進行中であり、徐々にその生存期間は延びている。
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Research Products
(7 results)