2011 Fiscal Year Annual Research Report
骨量維持を目的とした適正リン摂取量の解明-「多面的評価」をもとに-
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23800056
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Research Institution | Kagawa Nutrition University |
Principal Investigator |
伊藤 早苗 女子栄養大学, 栄養学部, 助教 (50610846)
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Keywords | リン / カルシウム / ビタミンD / 骨密度 |
Research Abstract |
本研究の目的は、骨量維持を目的とした適正なリン摂取量を、体内でのリンの動態に影響を及ぼすカルシウムとビタミンDの栄養状態を踏まえて多面的に解明することである。そこで、平成23年度中に日本人若年成人女性(大学1年生)約200名を対象に観察疫学調査を行い、(1)3日間の秤量記録法を用いた食事記録、(2)早朝空腹時採血による血清無機リン、カルシウム、副甲状腺ホルモン、活性型ビタミンD濃度、(3)24時間蓄尿による14時間尿中無機リン、カルシウム排泄量、(4)二重X線吸収法による全身骨密度、(5)身長、体重および体脂肪率、(6)自記式のアンケート調査票による初経年齢および運動習慣のデータを得た。(1)の食事記録は、対象者に事前に秤量記録法の訓練を行い、また、記録の回収時に管理栄養士による確認面接を行った。(2)は対象者に前日10時以降水以外の飲食を禁止させ、空腹の状態で採血を行った。採血後は血清を遠心分離にて回収し、検査会社((株)SRL、東京)に測定を依頼した。(3)は対象者に尿採取用の紙コップと回収用のボトルを配布し、24時間中に排泄された尿をすべて回収してもらった。回収した尿はよく混和し、一部を採取して検査会社((株)SRL、東京)に測定を依頼した。(4)は骨密度測定装置(Prodigy、(株)GEヘルスケアジャパン、東京)を用い、専門技師に測定を依頼した。(5)の身長は靴を脱いだ状態で0.1cm単位で測定した。体重および体脂肪率は8電極式多周波インピーダンス法による測定装置(InBody720、(株)バイオスペース、東京)を用いて測定した。(6)では、初経年齢より初経からの年齢を算出した。また、中学生時、高校生時また現在の運動習慣として授業を除いた週当たりの日数とその内容について記述してもらった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究実施計画通り、日本人若年成人女性約200名を対象とした観察疫学調査の実施ができたため。
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Strategy for Future Research Activity |
今後は、得られた食事記録の解析を行い、習慣的なエネルギーおよびリン、カルシウム、ビタミンDを含めた栄養素摂取量を算出する。また、血清中の繊維芽細胞成長因子FGF-23濃度の測定を行う。これらデータと平成23年度に得られたデータを用いて、(1)習慣的なリン摂取量と血清FGF-23濃度の関係の検討および(2)リン摂取量およびFGF-23濃度と全身骨密度との関係の検討を行う。このとき、カルシウム、ビタミンDの摂取量および栄養状態がどのようにこれらの関係に影響するかについても併せて検討する。
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